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株式会社 サブリメイション 本間 靖範氏 ロングインタビュー (2/2)

今回は「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の3DCGサブディレクター本間靖範氏にお話をお聞きしました。

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本間 靖範

ほんま やすのり

CGデザイナー

アニメの3DCGを中心に様々な仕事に関わり、現在は株式会社サブリメイションにて「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の3DCGサブディレクターとして活躍中。



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◆今後、MODOに期待する機能やご要望がありましたらお聞かせください。

今までは他のソフトと比較すると、 “モデリングを進めた後に元に戻れない” と言うのがMODOの弱かった所だと思うのですが、最近のバージョンでプロシージャルモデリングが実装されて、ベベルをかける前に戻るというような事も出来るようになりましたから、モデリングに関してはとても完成度が高くなりました。

なので、これからは統合ソフトとして制作で使えるよう色々な機能を搭載して欲しいですね。あとデフォーマー系が重いので全体的に動作を軽くする必要があります。

機能については具体的に言うと、1つめは、まずは輪郭線を綺麗に出したいです。

アニメの仕事で使う場合、最終的には輪郭線のレンダリングが綺麗かどうかがクオリティの全てになり、そこさえしっかりしていれば他の部分はどうにでもなります。MODOは、複数のマテリアルを切り替えたり、特定のマテリアルだけレンダリングすると言う事が容易にできる為、最終的なルックをコンポジットで作る場合とてもやりやすいです。輪郭線さえ綺麗なら、MODOが一番セルルックを作りやすいソフトだと言えるようになります。

2つめは、セットアップ絡みの機能、特に頂点マップの編集を強化してほしいと思います。

一旦作ったリグを別のアセットへ移植する際、とても早く作業出来ますが、ウェイトマップを鏡面コピーしたり、別のオブジェクトに転写しようとすると、一つ一つ手動でしか出来ないというような事が有ります。

セットアップがハイスピードで出来るのに、そこだけ何で出来ないんだろう?という事が現在のMODOには多いです。キャラクターに服を着せてたりと、バリエーションを変えたいとなると、結構面倒な事になってしまうので、ある程度自動化できるようになってほしいと思います。そうした部分を押さえてしまえば、仕様変更や差し替えは簡単なので、他のソフトを使うよりも効率良くなります。

3つめは、大分複雑な機能が増えてきましたが、シーンを管理するツールが乏しいままなので、スプレッドシートや、アニメーション時にキャラクター用のアイテムピッカーがあると嬉しいです。

4つめは、最近MODOで一番欲しい機能なのですがバウンディングボックス表示です。

例えば「ヤマト2202」のように戦艦を大量に配置させるシーンだとビューに表示させるポリゴンが数千万まで行く事があります。そうなると通常の表示では動きを確認出来ない位に重くなるので、バウンディングボックス表示で動きを確認できるようにして欲しいです。重いシーンで動きが確認できないという所で、MODOの限界値が決まってしまいます。Lightwave3Dで搭載されていた、再描画しきい値の設定とかが出来ると、とても良いですね。

MODOは機能が追加されてポテンシャルは高くなってきているのですが、その分バウンディングボックス表示のような基本的なところが整備されていないで、大艦巨砲主義みたいになってきている気がします。それほど複雑な機能でなくとも、コレがちょっと出来るようになれば、他のソフトより格段に効率が良くなるのにって思う部分が多いです。シンプルな所を気に入って使っているので、ハイエンドな機能を搭載する事に夢中になるより、初心に戻って基本的な機能をしっかりとして欲しいですね。

MODOを使いたい理由は沢山あるのですが、それと同じ位、まだ仕事では使えない理由が存在するので、そこだけはクリアして欲しいです。

◆最後にこれから3DCGをはじめられる方、MODOを使われる方へ一言アドバイスをお願いします。

これから3DCGを始めるのなら、まず複雑な機能を使う事よりもシンプルな作り方を身に付ける事をお勧めしたいです。

自分の場合、LightWave 3Dから入りましたが、このソフトは、良い意味でも悪い意味でもシンプルなソフトで、大体の事は出来ますが、必要最低限の機能しか搭載されていません。ですから、そこから他のソフトウェアを使うと機能がそれにプラスされていく感覚なんです。だから他のソフトウェアに行ってもショートカットを覚えていくだけも同じ事が出来るようになりますから、必要に応じて、どのソフトでもすぐに触れるようになりました。

モデリングに関しては、極論を言うば、面を張って分割が出来て頂点の移動が出来ればどのソフトを使ったとしても同じクオリティの物が作れますし、アニメーションも同じで、セットアップによって変わる部分は有りますが、基本的には移動と回転とスケールにキーを打っていけば大体の動きは作る事が出来ます。

そう考えるとソフトウェア自体は何を使っても同じ事が出来ると言って差し支えないと思います。

その上でMODOを使っている理由は、シンプルで一番良く使うツールの完成度がとても高く、他のソフトだと段階を踏まないと出来ない事がMODOはスピーディーに出来ると言う事と、用意されている機能だけでも工夫次第で、それを組み合わせていけば複雑な表現を行う事も出来ると言う所が気に入っています。

凄い機能が沢山搭載されているソフトや、プラグインは便利で、複雑な表現を簡単に作る事が出来ますし、会社によっては、沢山のインハウスツールが用意されていて、とても便利な機能を扱える事も有ります。

ですが、そうした機能に必要以上に依存した作り方で身に付けてしまうと、その機能が無くなった時や、環境が変わった時に何にも出来なくなります。そうならないよう、基本をしっかりと身に付けていく事を考えていくと良いでしょう。

これから趣味で始めたいと言う人にも、プロを目指している人にも良いソフトだと思います。プロになってからも、ずっとそのまま使い続ける事が出来ますし、そこから先、他のソフトへ移ったとしても、MODOで身に付けた事が役立たないと言う事はありませんので安心して下さい。

私見ですが、モデリングを含めて静止画までの作業に関してはMODOを選んでおけば間違いないと思います。モデリングに関しては、現在の状態でも全く困らないですし、最近はサブスクリプション形式で月額で払うソフトが増えてきていますが、MODOは永久ライセンスでずっと使い続ける事が出来ますから、結果的にコストパフォーマンスも高くなります。

静止画から先の事を要求する人にとっても、不満が無いとまでは言えませんが、大体の事は出来る機能がしっかりと搭載されているので決して悪くはありませんし、これから始める人がモデリングを覚えて次のステップに進もうと言う時には、さらに良い機能が追加されていて、とても優秀なソフトになっているのではないかと思います。

◆本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。

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