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株式会社 サブリメイション 本間 靖範氏 ロングインタビュー (1/2)

今回は「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の3DCGサブディレクター本間靖範氏にお話をお聞きしました。

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本間 靖範

ほんま やすのり

CGデザイナー

アニメの3DCGを中心に様々な仕事に関わり、現在は株式会社サブリメイションにて「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の3DCGサブディレクターとして活躍中。



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◆初めにサブリメイション様のお仕事をご紹介いただけますでしょうか?

弊社はセルルックのアニメーションの仕事を中心に行っています。私自身は現在「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」(以下「ヤマト2202」)の3DCGサブディレクターを担当しています。

◆いつごろから3DCGのお仕事に携わられていらっしゃるのですか?

中学時代に友達と遊びでゲームを作ったりしていて、その延長上で3DCGに触れていきました。そして代々木アニメーション学院のCGデザイナー科に行きながら在宅のアルバイトでCGの仕事を始めたりと実務経験を積んでいきました。卒業後はフリーランスで仕事を請けたり、アニメや映像方面の会社を中心に転々としていき、現在はサブリメイションで仕事をしています。

なんだかんだで、気がついたら10年以上この仕事をしているという感じです。

◆専門学校時代、3DCGは何のソフトで学習されていましたか?

学校では3ds MAXを使っていましたが、個人では買えない価格だったのでLightWave 3Dの学生版を買って、学校の授業とは関係なくLightWave 3Dを触っていました。

仕事ではLightWave 3Dがメインの時期もありましたが、他のソフトを使う会社でも仕事はしていますから、Mayaや3ds MAX等も触っています。新しくソフトを覚える際は、1週間くらい時間を貰って必要な機能をピンポイントに覚えてすぐ仕事に取り掛かる。といった感じでしたね。

◆MODOを利用されるきっかけはどのタイミングだったのですか?

最初のバージョン modo 101から使っています。ちょうどLightWave 3Dの停滞を感じていたときに、LightWave 3Dの開発メンバーが作った新しいモデラーのソフトとしてMODOがリリースされて、これが自分の望んでいたLightWave 3Dの後継ソフトだと感じたので、すぐに購入しました。

それ以降モデリングに関しては基本的にMODOを使っています。

◆お仕事はモデリングが多いのですか?

今は3DCGサブディレクターと言う立場なので全体のチェック作業が多いです。一体まるっとモデリングをする事は減って、細かな修正をする事の方が増えてきてはいますが、自分でカットを作る事もあります。基本的に自分はジェネラリストなので、3DCGの範囲なら一通りの作業はやりますね。

◆MODOを使ってみていかがですか?

モデリングに関しては殆ど文句はありません。他のソフトより遥かに使いやすいと思っています。

会社のメインツール以外のソフトの使用を禁止されない限りは、MODOでモデリングして他のソフトに持っていくというようにして使っています。コンバートの時の癖さえ把握していれば問題無く仕事で使えます。

補足すると、MODOのライセンスはハードウェアに対して紐付けられていなく、別の環境への移行が簡単なので、導入されていない会社では自分のライセンスを会社の作業PCで使っています。

◆MODOから他のソフトにモデルのデータを渡すときは、どのフォーマットをお使いですか?

最近はFBXですね。UVマップを一つしか使わなければOBJでも問題無いです。LightWave 3Dの仕事の場合は、LWO形式で書き出しています。

◆サブリメイション様ではMODOを使っている人は増えていますか?

モデリングを中心にやっている人はMODOを使っている割合が多いですね。

「ヤマト2202」は基本的に全ての作業をLightWave 3Dで行っていますが、モデリングにMODOを使っている人もいます。

◆MODOでモデリング以外の機能は使っていらっしゃいますか?

会社ではモデリングが中心で他の用途で使う事は殆どありません。フリーランスで仕事を請けている時は、軽い仕事であればカット制作なども含めMODOだけで作業を完結させる事はあります。

個人的にはアニメーションもMODOでやりたいと思っていて研究している所です。段々と仕様が分かって来て、モデリング以外の用途にも十分に使えそうだと思ってきた所なので、機会があれば短編などで使ってみたいですね。

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※これらのシーンは本間様がMODOの機能を確認するために制作されたものです。詳細は以下のページでご覧いただけます。実際のシーンファイル(*.lxoファイル)もダウンロードすることができます。
<MODO映像制作の現場における使用例:リギング> :: MODO JAPAN GROUP

◆他の3DCGソフトウェアと比較してMODOはいかがですか?

シンプルで完成度が高いモデラーという印象です。ある程度応用力があるのならMODOは覚える事がとても少ないですね。

たとえば他のソフトウェアで “ねじる・ひねる” とか色々な機能がありますけど、MODOならトランスフォームツールの使い方を覚えればモデルの変形については殆どの作業がそれだけで出来てしまいます。今まで、色々なソフトを触ってきていますが、覚えているショートカットの数はメインで使っているMODOが一番少ないと言う位シンプルで良くまとまっています。

モデリング以降の工程に関しても言うと、今はちょうどキャラクターセットアップをしてみて実用に耐えうるかどうかを確認している所です。

例えば、ロケーターを一つ動かすだけで、色々な表情を作れるフェイシャルリグを作ったり、アニメや漫画のキャラクター表現で、カメラからの角度で口の位置を動かすと言う表現が有りますが、こうした事を自動でやれるリグを作ってみました。

どのソフトでもやろうと思えば出来る事かも知れませんが、MODOの場合、一番大きなメリットは、一旦作ったリグをアセンブリ化しておけば、それをすぐに別のキャラクターへ移植が出来るようになると言う所だと思います。

口を自動で動かすリグは、他のキャラクターに10分で移植出来るよう作っています。こうした事は、LightWave 3Dでは面倒でやりたくないし、Mayaだとスクリプトで自動化したり、3ds MAXならプラグインを多用する事も多いかと思います。ですが、MODOは少し工夫をすれば大体の事は出来ますし、最初に作る時に少し気を付けておけば他のアセットへの移植はすぐに出来ます。

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そして、一旦セットアップの済んだオブジェクトでも後から編集したり差し替えたりする事や、アニメーションが済んだ後でも、リグを追加したりと言う事が容易に出来ます。

他の統合ソフトで、こうした作業はとても面倒なので、大きなメリットだと言えます。

アニメーションの仕事は要求されるクオリティラインがどんどん上がってきていますし、人が増えてくると作業者のスキルもバラつきがでてきます。MODOは、ある程度そうした部分を吸収出来ると思っているので、中規模の会社でワークフローを構築するのに向くのではないかと考えています。そうした理由で、個人的には将来的にはMODOをメインツールにする事も検討しています。

◆「ヤマト2202」の制作ではモデリングはどうされているのですか?

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ヤマトのモデルは「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」の時のデータを改良して作っています。自分はヤマト本体は触っていないのですが、第一章で登場する改装中のヤマトは私がMODOを使って建造しました。結構スケジュールがギリギリだったので、テクスチャが届いてからブーリアンでバババッと穴を開けて3日位で作っています。

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他には、同じく一章で出て来る “大戦艦のダメージバージョン” の制作を、別の作業者に指示を出してMODOで作業してもらいました。

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3面図を元に描いてもらったテクスチャを貼って作りましたが、当然の事ながら、そのまま貼っただけではUVの繋ぎ目がずれます。そうした時に、テクスチャをベイクした後に、3Dペイントのスタンプツールで修正しています。地味な所ですが、標準で3Dペイントが搭載されている事と、UV展開やベイクが優秀なので、フットワーク軽く作業できたのでとても助かりました。ベイクなどで他の3Dソフトを跨いだり、Photoshopと行ったり来たりを繰り返すのは手間が掛かるので、MODOだけで完結出来ると言う事は大きいです。

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◆そんな「ヤマト2202」の第一章が2月25日(土)に劇場公開されましたが、仕上がりはいかがですか?

作業中はテレビでチェックが行われますから、スクリーンでの状態は最後の最後まで見ておらず、どうなるか分からず不安でした。ですが、試写会で観た時しっかりととスクリーンに耐えられるクオリティになっていて、とても迫力があり安心しました。

興味がある人は、是非劇場に足を運んで観に行って下さい。

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