今回は大阪でカタログや広告などに掲載する商品画像の制作にMODOを利用しておいでの株式会社スタジオ・ビーム 広瀬 明様にお話しをおうかがいしました。
弊社では印刷組版とデザイン・企画等の業務を中心におこなっています。
その中で、カタログや広告などに掲載する商品画像を3DCGで作成/提供し、使用していただいております。
以前は商品の発売前にその商品のモックアップを実際に作成し、スタジオで撮影して商品画像を作っていましたが、現在は3DCGで商品画像を作っています。
また、一般の消費者の方の目に触れない棚割りシステム用の画像も作成しています。
メーカー様、販売店様が店頭での商品の陳列を検討する際にはいろいろな方向から見た商品画像が必要になるので、カタログ用の画像の作成と並行してそちらの作業も行っています。商品のモデルを3Dで作っているとカメラアングルを変更してレンダリングすれば対応できるので便利ですね。
以前は Shade を使用していたのですが、マッピングに苦労していて何枚ものテクスチャーを切り貼りして対応していた時期がありまして、そこで当時興味のあったMODOでやってみようかなと思いました。
MODOのポリゴンモデリング、UVマップ、グローバルイルミネーションといった機能にも興味がありましたね。MODOのグローバルイルミネーションのレンダリングは設定を詰める前の段階でもきれいな画像が出来上がるのがよかったです。
あと機能面と価格のバランスも魅力的でした。
我々の仕事では、テクスチャーに使用する画像ファイルは商品のパッケージやラベルの印刷データをそのまま使用しています。ですので箱の展開図やラベルに合わせてモデルのUVマップを編集することになるのですが、MODOのUV編集はポリゴンモデリングのツールと同じように使用でき、非常に柔軟に利用することができて良いですね。
パッケージやラベルはゆがみの無いきれいな状態にマッピングする必要があり、MODOだと細かい調整ができてうまく貼りこむことができます。
あと、シェーダーツリーのレイヤー構造も気に入ってます。パッケージのラベルは透明で光沢の強いフィルムの上に不透明なマットのインクで印刷を指定されるなど、異なる質感を活かしたデザインも多く、印刷の版分けが強く意識してデザインされています。MODOのシェーダーツリーはグループやレイヤーマスクを使って実際の版分けと同じようなレイヤー構造でラベルを表現することが可能で、シェーダーツリーで版の表示をON/OFFできるようにしていれば確認も簡単です。
それとレンダーパスの機能も直観的に使用できて便利ですね。レンダーパスは多方向の画像を作成する時にアングルを登録して使用しており、この機能がなかった以前のバージョンではアニメーション機能を代わりに使っていました。
我々は様々な形の商品を取り扱っていますがブランドごとに同じデザインが施されており、ブランドの色味、品質の統一ということを優先させた結果、できるだけシンプルなシーンをつくるというところにたどり着きました。
現在はライトアイテムは使用せず、イメージベースドライティングだけでレンダリングしています。
※透過物の商品にはバックライトを使用しています。
取り扱う点数が多いので、個別のライトやPhotoshopでの後処理を含むワークフローにすると作業量が膨らんでしまうので、なるべくMODOのレンダリングだけで完結するようにしています。
ほぼ後処理無しでもMODOのレンダリングは綺麗にでてくれるので助かっています。
プレビューレンダリングではライトや反射板の位置変更も確認も素早くできますし、シェーダーツリーではシーン全体を一時的に白一色にしたり鏡面一色にしたい場合でもON/OFFで簡単に切り替えが行えますので、よりハイライトを入れたい場所、シャドウを落としたい場所が調整しやすいです。
試行錯誤もまだまだありますが、とりあえずは現在のワークフローに落ち着いています。
まだ学習中ですが、V-Ray for MODO、ZBrush、Substance Painter なども触っています。個人的にトレンドな手法も触っておきたいという理由ですが表現の幅は広がりそうです。
V-Ray for MODO はサブサーフェイス、透明なモデルの表現がきれいに出るので気に入ってます。
MODOとの連携も問題無く活かせるのも良いですね。
現在は簡単なスクリプトで対応しているのですが、バッチレンダリングの機能を標準で搭載して欲しいですね。
基本的に1つの商品は1つのファイルになるよう管理しており、それのバリエーション違いで数十点のレンダリングを短納期で行わないといけないのです。
一つのシーンを長い時間をかけてレンダリングするというのではなく、レンダリング時間の短いファイルを多数レンダリングする場合には、バッチレンダリングの機能は必須ですね。
MODOはデザイナーの方にも非常に強力なツールではないでしょうか。モデリングも作成したい形状にたどり着きやすいです。
マテリアルのシェーダツリーもPhotoshopのようなと教えてもらえると早く理解できました。アイテムマスク等も利用していくとこちらも非常に柔軟なんですよね。
個人的には物理ベースのマテリアル、ゲームエンジンなど新しい機能もバージョンアップで取り入れてくれていますし、V-Ray, CharacterBox 等の形で機能が追加されるのも非常に楽しみです。
昔はWEBで検索しても英語版のビデオしかなくて動画を見ながらクリックしているアイコンの位置を目で追いかけながら学習していましたが、今はMODO JAPAN さんの公式動画もすごく充実しているので、覚えやすいのではないかと思います。過去の動画も良く拝見しています。