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MODO image by Maurison Borba

海津ヨシノリ氏 インタビュー

今回は、オンライン、オフラインを問わず様々なメディアを通じてデザイン、コンピュータグラフィックス、写真撮影などの情報を発信されているアーティスト 海津ヨシノリ様にMODOの魅力についてお話をお聞きしました。

海津ヨシノリ

  • グラフィックデザイナー、イラストレーター
  • ライター、写真家、お菓子研究家
  • 跡見学園女子大学全学共通教育非常勤講師
  • 二松學舎大学国際政治経済学部非常勤講師
  • 駿河台大学情報処理教育センター非常勤講師
yohinori_kaizu_world

■自己紹介をお願いします。

こんにちは海津ヨシノリです。

最近の本業はイラストレーターなんですが、個性があまり出ないようなイラストを描いています。名前が出ないようなお仕事、いわゆる覆面イラストレーターですね。

グラフィックデザイナーとしては、パッケージやロゴタイプなどを作る仕事をメインでやっていて、あと最近はあまりやっていないんですけど写真の仕事もやっています。

それと15年位前から非常勤で大学で教鞭をとっています。今はOfficeソフトの使い方なんかも教えているのですが、初めは多摩美術大学の夜間部の授業で画像処理を専門に教えていました。2017年にその学部はなくなってしまったのですが、長い期間やっていましたので結構な数の教え子が巣立っていきました。

■海津様のWEBサイトのプロフィールにお菓子研究家という記載を見つけたのですが、そういった活動もなされているのですか。

はい。昔とある企業様の企画で写真に関するサイトのコンテンツ制作に関わっていたのですが、その中で色々な写真の撮り方を説明するコーナーがあったんです。

花の撮り方、子供の撮り方、電車の撮り方など色々やったのですがネタが尽きてしまって。

それで担当者との打合せで「おじさんがお菓子を作ってそれを写真に撮ったら受けるんじゃないか」って提案したら「じゃあ、やってください」って言われてそこから始まりました。冗談みたいな話ですね。

それから自分なりに色々なお菓子を作っていたらハマっちゃって。今は非常勤で教えている女子大からのリクエストでお茶会を開いてケーキ作りの腕試しをやることもあります。結構リクエストが多いですね。

■CG、3DCGに興味をもたれたきっかけ、使われるようになられたきっかけを教えていただけますでしょうか。

私がデザインの仕事を始めたころはまだ手描きのアナログだったのですが、ちょうどその頃 Mac が登場してCGの時代が始まったんです。

それですぐに初期のMacを買ってCGを始めました。漢字Talkが出る前なのでSweetJAMなんかを使ってOSを日本語表示させていましたね。

当時出てすぐの Adobe Illustrator を使い始めたらにすっかりハマっちゃいまして。その流れで Adobe Illustrator で作ったベジェのデータを立体に表示できる Adobe Dimensionsも使うようになって、それが3DCGを始めたきっかけになるかと思います。

Adobe Dimensionsでちょっとしたものを作っていたら3Dが面白くなってきて、3DCG専門のソフトも使うようになりました。初めに使ったは StrataVision 3D というソフトなんですが、そのあとShadeをさわってMODOを使うようになりました。初めて使ったMODOのバージョンは 201 だったと思います。それからずっと使っていますね。あとZBrushも使っています。

■MODOの印象はいかがでしたか

MODOは一画面のビューを一人称視点にしてすべての作業をできるのが良かったですね。昔の3DCGのソフトは四分割の画面で三人称視点での作業が前提になっているところがあったのでそれがとても難しく感じました。

あとレンダリングが早くてきれいなのも気に入った理由です。CPUのパワーに関係なくサッとレンダリングしてくれて、しかも綺麗なんですよ。当時はMacで使っていましたが速かったですね。

モデルの配置やライティングを一人称視点で確認出来てすごく分かりやすかったです。

それと Splash kit や Studio Set のキットも購入しました。3DCGのレンダリング作業には撮影の基礎知識も必要なので、スタジオのキットは分かりやすいと思います。

MODO キット/プラグイン :: MODO JAPAN GROUP

あと私の作風もMODOに合っていると思います。

Adobe Dimensionsの頃からどちらかというとゆるいデザインのキャラクターを作っているのですが、MODOではローポリゴンで作成してからサブディビジョンサーフェイスで丸めて仕上げています。

サブディビジョンサーフェイスをOFFにすればすぐに角ばったローポリゴンの状態に戻せますし、修正も楽ですね。

大学の Adobe Illustrator の課題で教えたこともあるのですが、複雑な形はシンプルな形の集合体へ分解することが出来るんです。そしてそれは3Dでも同じなんです。その理屈が分かれば初心者でもある程度のものが作れると思います。

丸い形だけを使ってオブジェクトを作るような基本的なことを生徒にやらせると、結構みんな手が動かないんですよね。

■MODOへのリクエスト

これは機能への要望ではないのですが、MODOの機能を制限した廉価版があると人にすすめやすいですね。学生さんだったらアカデミック版があるんですけど、そうではない個人の方には気軽におすすめできない金額なので。ZBrush Coreのような製品があるとうれしいかな。

あとはリトポロジーの機能強化です。今のMODOの自動リトポロジーの機能は正直ちょっといまいちですよね。私はZBrushも並行して使っているんですが、Zリメッシャーのリトポロジーがすごくきれいなんです。ほとんど後で修正しなくてもOKなので、あれだけのためにZBrushを使っているぐらいの感じでもあるんですけども。

あとデザイナーの立場で言うと Adobe Dimension へ簡単にモデルデータをもっていけるような仕組みがあるといいですね。昔の Adobe Dimension「s」ではなくて、今のパッケージデザインのソフト Adobe Dimension です。Adobe Dimensionは、ソフトの中で背景画像を張り付けて、その背景のパースに合わせてモデルを配置し、マテリアルも設定できるようになっているんです。かなりの数のモデルがデフォルトで入っているんですが、オリジナルの形状というのは自分で作って持ってこなければなりませんので、MODOで簡単にできるといいですね。

■海津様はWEBサイト、ブログで様々な情報を発信しておいでですが、どのように内容を決めておいでなのですか。

Kaizu-Blog

ブログにアップしているのは、私への質問に対する回答と私自身の備忘録がほとんどです。

生徒以外からも Facebook のメッセージで「Mac使っているんだけどWindowsでこういうことできますか。」という質問が来ることもあります。そういったときにサッと操作して確認してアップする、という感じです。自分の疑問点を実験をしたりすることもありますね。

ブログのMODOの記事は教科書の代わりにもなっています。3DCGソフトって画面が暗いのでコピーして配布する手作りマニュアルが作りにくいんですよ。コピーすると真っ黒になっちゃうんです。今私の生徒はスマホで私のブログを見ながら操作したりしています。私自身もあまり使わない機能は忘れたりするので自分のブログをスマホで見て思い出すようなこともありますね。検索していて自分のサイトにたどり着くことは結構あります。

あとMODOはWEBにいろんな方が説明している情報がたくさんあって、公式なムービーがあるので紹介しやすいです。これほど情報が出ているソフトって多分他に無いんじゃないですかね。

■これからCGを始められる方へ

以前、多摩美術大学で教えていたときに、3歳くらいのお子さんのいる生徒が卒業制作でお子さんの描いた絵を映像にしたんです。それがなかなかおもしろくて。そういうのって男性目線ではないんですよね。お母さんの目線でないとできない。男性目線が悪いというわけではないんですけれど、女性なら女性でしか気が付かないところがあるんじゃないかなという気がします。

今だと簡単な3Dモデルであれば3Dプリンタですぐに出すことが出来ちゃいますので、「お母さんから子供へ」という流れもあると思うんですよね。コンピュータのOSに初めから3Dの機能が入っていたりしますので、今のうちに3Dに慣れておくと良いと思います。そういう話を学生さんによくしますね。

今はリアルな作品が注目を浴びていますけれども、今後は個人のアイデアやセンスに絞り込まれるのかなという気がするんです。みんなが同じような作品を作っていてもしょうがないですしね。

あと、マウスでうまく描けないという教え子に「ペンタブがいいよ」って話をします。マウスで何か描くのって石ころをもって描くようなものですからね。

私はほぼ100%タブレットでオペレーションしていて、Macにはペンタブレット、Windowsには液晶タブレットをつなげて使い分けています。3DCGのソフトもタブレットで粘土細工をしているような感じで作業ができていいですよ。

■学校ではどのような授業をなされているのですか

二松学舎大学や駿河台大学では、基本的には Officeソフトを教えていて、授業の合間に息抜きとして映像を見せたり、3DCGのモデリングを見せて「簡単にこんなことができるんだよ」という話をしています。ただOfficeだけやっていても面白くないですからね。

あと授業で必ずやるのは、Word の図形の機能を組合せてキャラクターやイラストを描かせる課題を出しています。あとPowerPoint でムービーの絵本を作らせるという課題もやっています。人文系の学生はアイデアが面白くて、いい作品を作るんですよ。そういう子たちが気軽に3Dを初めることができると良いと思います。

跡見学園女子大学の授業では映像と音楽を担当しています。

半期の授業なので3Dでキャラクターを作るところは省いて、ダンスソフトでモデルのポージングやアニメーションの基礎的な話をしています。

興味を持つ学生から「本格的にやりたいときはどうしたらいいですか。」「どんなソフトがいいですかね」という相談を年に何回かうけるんですけども「私はこういうのを使っている。」「こういうのもあるよ。」という話をしています。

それで実際にアルバイトでお金を貯めて買った子もいます。興味をもってやるというのはすごくいいですね。

■今後のご予定、告知などがございましたらお教えください。

今は新型コロナの影響でお休みしていますが、九段下のボーンデジタルさんのスペースで毎月セミナーを開催しているので、それを今後も続けていこうと考えています。

このセミナーは色々なテーマで毎月話しをしているのですが、MODOのネタも増やそうと思っています。

あとセミナーですと大体年に一回、大阪のDTPの勉強会に呼ばれて登壇しています。そこでは基本的にはAdobe Photoshop, Illustrator のお話しをしているのですが、3DCGの話もします。

デザイナーで3Dモデルをゼロから作れる人ってそんなにいないんですよね。

デザイナーは映像制作も含めて何でもできて当たり前のような見られ方をされるので、これからこの業界に入ってくる皆さんには色々なことをお話ししています。通り一辺倒にAdobe のソフトのことだけが分かっていれば良いというわけではないので、3Dができると可能性がかなり広がるんじゃないかなと思うんですよね。ポートレートを作るときも、ただAdobe Photoshop, Illustratorで見せるのではなくて、「3Dでこういうこともできますよ」ということが言えるといいですね。

■本日はどうもありがとうございました。

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