今回は「DMM.make×週アス『カオスだもんね!』3D化コンテスト」で最優秀賞を受賞された古川 祐司氏にMODOによる作品の制作過程などについてお話しをお聞きしました。
1968年生まれ。東京都在住。日本歯科大学歯科技工専門学校歯科技工士科を卒業後、歯科医院、歯科技工所勤務を経て、現在は歯科メーカー勤務。マイコン時代からコンピュータいじりが趣味。初代機は「FUJITSU MICRO 8」。現在は自作Windows機を、趣味のCGや、積みゲー課金に愛用。
ありがとうございます。
本職は歯科関係の仕事をしています。以前は歯科技工士を務めていたのですが、現在は歯科メーカーの方に転職しまして、ホームページやカタログを作っています。カタログなどに載せる写真や画像など、社内で用意しているんですが、足りない部分などはMODOで画像を作ったりしています。手早く簡単にキレイな画像を作れますので、Office系ソフトや、Adobe系ソフトを使っている延長線上で、MODOを気軽に使っています。
そうですね。あとは展示会の自社ブースイメージ制作とか。最終的には実際に業者さんにお願いするんですが、イメージ図は全部MODOを使って作っています。
学校では全く触れていなくて、初めて買ったCGソフトが、まだレンダリングに制限があった頃のShade Personalです。ロボットのCGが作りたくて購入しました。知り合いのグラフィックデザイナーの方に「Shadeを買ったんですよ」と言って、初めて作ったロボットの画像を見せたら、お仕事を依頼していただけたんです。そこで作ったのがキネマトコミックスの挿絵とCD-ROMに収録されているムービーです。
1998年頃ですね。Shadeでもテライユキなどの作品が出されていたので可能なんでしょうが、自分にとってはShadeで洋服や髪の毛を作るのが難しくて、苦労しながら完成させました。その後、世の中にはポリゴンというのがあると聞いて(笑)、LightWave [8]を買いました。
当時、美少女ものCGが流行っていましたが、自分はメカのほうが好きだったため、結局LightWave [8]でも、オリジナルのロボットばかり作っていました。アスキーさんの月刊誌「MACPOWER」でロボット開発者へのインタビューの連載記事があり、ロボットCGの挿絵が書けるイラストレーターを探しているとのことで、知り合いの編集者の方から紹介を受けて、担当させていただきました。
そうです。回によってクラゲ型ロボットの記事だと聞けば、水中用ロボットを作ったり、というのを続けていました。その後、いろいろな雑誌でイラストを担当したのですが、副業として夜遅くまで作り続ける生活を続けていると、だんだんCG作るのが嫌になってしまいまして(笑)。それでボードゲームやカードゲームといった趣味に変わったんです。
かなり長い間、CGから離れていたんですが、ドイツのカードゲーム「ボーナンザ」のファンアート版のイラスト募集記事を見つけて、久しぶりにLightWaveでCGを作って応募し採用されました。それを見た国内メーカーさんからカードゲームイラストのお声をかけていただき、イラストを担当したりするうちに、CG製作ってやっぱり楽しいなあと、改めて思うようになりました。
はい。LightWave [8]をそのまま使っていましたが、長い間CGを触っていなかったので、機能が進化しているかもと思って、情報を集めました。最終的にLightWaveをアップグレードするか他のソフトを買うか悩み、結局MODO 601を買いました。最初は使い方がよくわからなかったので、MODO JAPAN GROUPで行っていた初級トレーニングを受けて、やっと使えるようになりました。
何となくオシャレっぽいなぁと思ったのと(笑)、レイアウトとモデラーが分かれていない一体型を使ってみたいなと。また、モデラーとしてすごく出来が良いという評判もありMODOに決めました。それと、MODOはLightWaveの初期開発者が手掛けていると聞き、それなら自分にもわかりやすいんじゃないかなと。
プレビュー画面が非常に速くて最終イメージとほぼ同じ状態で確認できるじゃないですか。レンダリングしてガッカリといったところがないため、こまめにチェックしながら絵作りができるところが助かります。それとMODO 901で搭載されたエッジの複数スライスのオプションが良いですね。今までなんでなかったんだろうと思うぐらい、あの機能は便利ですよね。そして、イチオシ機能はMeshFusionですね。今回ボルナッスを作っていて、3Dプリンタ用のデータを作るのも初めてだったものですから、よくわかってなくて、3DCGができれば普通のCGデータですぐにできると思ってたんですよね。ところが3Dプリンタ用のチェックソフト(netFabb)をかけてみるとエラーが万単位で出てきて…。そこで、MODO JAPAN GROUPのブログの記事(※1)を思い出して、MeshFusionならどうかなと思って試してみたところ、これはいいなと。サブディビジョンデータのままブーリアン可能で、密閉メッシュがエラーなしで出力できるのはすごいなと。MeshFusion同士もツリーでつなげられるじゃないですか。あの機能もめちゃくちゃ便利です。
※1. レポート:MeshFusionモデルを3Dプリント! | MODO JAPAN GROUP 公式ブログ
応募したきっかけは、やはり『カオスだもんね!』のファンだったからです。親子でファンで、毎週楽しく読んでいたのが一番ですね。副賞に直筆サインが頂けるのも魅力的でした。あと、今まで突き詰めてCGを作ったことがなかったので、本当に一生懸命やってみたらどれくらいできるのかなというのもあり応募してみました。ちょうど「カレイドスター」っていうアニメを見て、モチベーションがすごく上がったので、頑張って作ってみようかなと思って(笑)。
DMMさんの資料の中に三面図はあったので下絵としてMODOのBackDropアイテムとして配置して作っていきました。ただ、最終的にはバランスとかは全然違う形にとりなおしました。自分のオリジナルで思ったように作った方が受けるかなと思って。全然違うんだけど、これはこれでありかな、と思わせるデザインで作っていけば、他の応募者の方はそんなこと考えないと思うので、うまく行けば選ばれるかなと。ですので、苦労した点というと、どのくらいいじってテイストを変えても許されるのか、といった点で迷ったところでしょうか。
実は締切直前までモデリングを行っていて、そんな余裕はありませんでした。直前に初めてSTLデータのチェックを行ったらエラーの嵐…。こりゃあかんと思いましたが、泣く泣くそのまま提出しました。ところが、応募期間が一か月延びまして、MeshFusionで作り直す作業に入ったら、これがすごく使いやすい。パーツ間のバランス調整がとても楽にできるため、納得できるまでアレンジ作業に没頭できました。なのでMeshFusionを触って、これでもしかして優勝できるかもと思いました(笑)。2度目のデータ提出の際に、参考画像としてレンダリング画像を添付しましたが、CADソフトみたいにフィレットもつくため、フィレットの部分にハイライトが入るので、絵作りとしてもmeshfusionって、有効だなあと思いました。
完全に密閉された閉じた形状でなければいけない等、レンダリング用の3Dデータとは作法が大きく異なる部分がありますので、STLのビューワソフト(MiniMagicsやnetFabb等)で、早めのエラーチェックをおすすめします。netFabb等のソフトでは、エラーの修正も可能ですが、修正できないエラーもあります。エラーチェックから学べることも多いので、まずはチェックをおこなってみてください。
また出力したい材料や業者さんによって規定がかなり違ってきます。薄さは何ミリ以下はダメとか、形状によって中にサポートが入ってしまうとか、サポートを抜くための穴が何センチ以上じゃないとサポートが残ってしまうとか。当たり前のことではありますが、まずはそこを確認してから作り始めたほうが良いと思います。
応募した時点では手や足にダボを付けて提出したら、全てくっつけて出してくださいって言われたんです。他のソフトだとポリゴンをつなげなおさないといけなくなるので難しいと思うんですが、MeshFusionだとダボの部分を抜いて、ツリーをつなぎなおすだけで済んだので、修正もすぐにすみました。そういう意味でもデータや素材などの出力によって、パーツのつながり具合も自由に変えられるので、MeshFusionだと作りやすいと思います。
MeshFusionで右腕を作った後に、左腕をミラーリングで作りたかったんですけど、そのやり方がわからなくて。もしその機能がないのであれば、MeshFusionされている状態そのままで、ミラーリングが行える機能がほしいです。
あと、やはりすごくMeshFuionを好きになってしまったので、ぜひMeshFusionをいっぱい宣伝してほしいです!
まずMODOでしたら、初級トレーニング(※現在不定期開催)を受講されることをお勧めいたします。そこで基本を学んでから、Sports Shoeなどのチュートリアルのビデオをやってみるといいと思います。Sports Shoeでモデリング をある程度理解した上で、MeshFusionを触ってみると、いろんなものが作れるんじゃないでしょうか。 あと、今回初めてコンテストに応募してみて感じましたが、応募作品を全力で作るとスキルアップにつながるので超おすすめです。DMMさんが定期的にコンテストを開催されているようなので、そういうのに目標を定めて作品を作ってみるといいかなと思います。