教育機関の導入事例の第一弾として総合学園ヒューマンアカデミー福岡校ゲーム・アニメーションカレッジ 非常勤講師(インタビュー当時) 内田 成俊氏にお話を伺いました。
高校ぐらいの時期に、ちょうどCGがゲームで使われだして「こういうものがあるんだな」と思っていたのですが、当時、高校のコンピュータルームにあるMacintoshにShadeが入っていたんです。授業で使うわけではなく、コンピュータルームを管理している先生の趣味だったようなんですが、それを教えてもらいながら触っているうちに、こういう世界があるんだということで興味を持ちました。それで、高校を卒業した後に総合学園ヒューマンアカデミー福岡校に入学したんです。当時、ヒューマンアカデミーではLightWave 3Dが採用されていましたので、そこでポリゴンモデラーに出会いました。ヒューマンアカデミーを卒業した後は、とある製作会社に就職しました。
modoは101の頃から会社に導入されてはいたのですが、当初はレンダリング機能が実装されていなかったので、LightWave 3Dでモデリングからレンダリングまでを行っていました。201でレンダリング機能が実装されてからは、アニメーションを使用しない建築パースのような仕事であれば、modoでモデリングしてレンダリングまで一本でいけるということで、modoに移行していきました。
modoはLightWave 3Dと同じポリゴンモデラーですが、LightWaveと比較して一手間少ない感じですね。UV展開や整列などの操作において、LightWaveでもプラグインを導入すれば同様の操作が可能なんでしょうが、modoで作業したほうが早かったです。また、LightWaveとmodoは連携もとりやすいので、modoでモデリングして、LightWaveでアニメーションやレンダリングをしたりもしました。
一昨年あたりからです。当初は3dsMaxで教えていたんですが、その後、modoを導入するようになり、modoを教えるようになりました。
まずは僕が使い慣れていたツールであるということが大きかったです。
あと、講師を務めるにあたり、学生さんの作業や作品といったものを見せていただいたのですが、初心者が陥りやすい箇所でつまずいたり悩んだり、またわからないままで作業しているという気配を感じました。であれば、手順が簡単かつ直感的でレスポンスが早く、試行錯誤を繰り返しやすいmodoのほうがいいだろうということで、modoを導入しました。
僕は今までmodoや3dsMax、LightWave 3Dを使ってきましたが、モデリングに注目するのであれば、modoが最適だろうということで。
やはり、他のソフトを使っていた学生などからスピードが速いというのは言われますね。モデリングする上で必要となる機能がすぐそばにあり、ショートカット一発で実現できるところとか。あとはUV展開がわかりやすいというのも言われます。
多少は解消されました。学生の中には、UVについて本を読んでも概念すらわからずに作業を進めようとしているため、後一歩というところで作業がとまってしまうということがあったのですが、modoの場合だと、すぐに新規でUVを作成し展開するということができるので。
あとプレビューレンダラーのおかげで、モデリング、UV、テクスチャ設定がその場ですぐに確認できて、修正もすばやく行えるので、使いやすいというのがあります。
ヒューマンアカデミーではゲーム・アニメーションカレッジというのを用意しています。このカレッジは2年制です。ゲーム・アニメーションカレッジといっても、ゲームを作りたい学生、映像を作りたい学生、建築パースを作りたい学生などさまざまです。比率で言うと、3分の2ぐらいがゲーム志望、残りが映像やアニメーション志望ですね。アニメーションといっても、フォトリアルなアニメーションを目指す学生も、CGを活用したセルアニメを目指す学生もいます。
どの学生に対しても一番最初は基本的な概念を教えつつ、簡単なキャラクタや建築パースを作るような工程を前期日程で組んでいます。その後、後期において学生自身が目指すもの、作りたいものに特化したモデルを作るような流れになります。ゲーム志望の学生であればローポリのキャラクタモデル、映像志望であればハイポリなモデルなど、学生によってそれぞれ異なります。
ヒューマンアカデミーでは就職活動が中心となるので、後期は就職活動用のポートフォリオを作るというのがメインになってくるんですね。
3dsMaxも導入されています。ゲーム・アニメーションカレッジの中でもCGグラフィック専攻/企画・シナリオ専攻/プログラム専攻と分かれているのですが、それぞれがチームを組んでひとつのゲームを作るようになっています。その場合、modoでモデリングしたモデルを3dsMaxに読み込み、リグを組んでアニメーションを設定し、DirectX形式でファイルを出力したりする場合もあります。
そうですね。そういう学生もいます。それはmodoが使いづらいといった機能的な要因というよりも、学生にとって二つのソフトを覚える時間がなく、時間を短縮したいということ、また実際問題、3dsMaxのような導入先が多いソフトのほうが就職先に有利だという判断があります。
ただ、講師の立場から言うと、ツールに偏った教え方ではなく、モデリングに関してのアプローチの仕方を伝えていくことを意識しています。あとはひとつのツールを徹底的に覚えれば、「このソフトにあるこの機能は、別のソフトにあるこの機能と同じだな」というのは先々応用が利きますので、さほど問題にはなりません。
実際、今まで映像製作を行ってきて、いくつものツールを使ってきた経験上、モデリングするツールは正直なんであってもいいと思っています。ただ、その中でもmodoは合理的で他のツールよりも早く作業できますね。
先ほども話したとおり、学生は就職活動用のポートフォリオが必要になるのですが、時間が十分にあるわけではありませんし、全ての作品をポートフォリオに掲載できるわけでもありません。ひとつでも多くの作品をトライアンドエラーを繰り返しながら作ることを考えると、スピードという点で優れているmodoを使えば、いろいろと試せるのではないかと思います。
知名度という点において、確かにハードルはありました。ただ、授業自体はツールそのものというよりも、モデリングの肝となる部分を教えていくものですので、学生がとっつきやすいソフトが良いということになりました。modoは初心者が使用していく上での敷居をぐっと下げてくれるソフトだと思っています。
他でも言われ続けていることだとは思いますが、ボーンとアニメーションの機能ですね。キャラクタにポーズをとらせるとなると、別のソフトに持っていくことになります。テクスチャをつけるところまではmodoでできても、いざ他のソフトでポーズをとらせると、微調整が必要になってきたりするんです。そこまでを一本のソフトで完結できると、面倒くさがり屋の学生のモチベーションが上がって良いですね。
あとは、サブディビジョンの全体の係り具合をうまく調整できると良いという意見を聞きます。エッジを増やしたり、ウェイトをつけたりといったことで調整は可能なのですが、ゲーム用のローポリですと、むやみにジオメトリを増やすこともできないので。
今まで他のソフトを触ったことがある方であれば、モデリングの基礎さえあれば簡単にmodoに移行することができると思います。実際、僕の知人も半月ぐらいで基本的な機能は使いこなしてモデリングしていました。
学校導入に関して言えば、modoの最大のメリットはスピードだと思います。modoは体感的に他のソフトに比べて倍ぐらいのスピードで作業できますので、限られた時間の中で学生さんにできるだけ多くの作品を作ってもらえるということで、modoを導入されるメリットがあるかと思います。
こういうモデラーでは経験値がものを言いますので、レスポンスが良いという点は非常に大きいですね。