まずは簡単な経歴、CGを始められたきっかけを教えてください。
専門学校時代にパースの勉強をしており、当時は高松伸さんの手描きのドローイングや磯崎新(いそざきあらた)さんのデジタルなドローイングを見て、「あぁ、いいなぁ」と思っていました。
その後、意匠系の建築設計事務所で働いていました。設計事務所ではVectorWorks(当時はMiniCAD)を使って図面を描いていたのですが、Model Shop 2を使ってパースができるということでCGに興味を持ちだし、1990年ぐらいに建築パースをCGでやりたいということで事務所を独立しました。
ただ、独立当初は640×480サイズのレイトレースを使用したレンダリングに1週間かかるような時代でしたから、それだけで賄うことができず、週4日常勤で専門学校の講師を務めていました。今もずっと講師は続けていまして、僕の事務所のスタッフの9割は同じ専門学校出身です。
当時使用されていたソフトウェアは?
MacベースでInfini-Dなどを使用していました。Model Shop 2では簡易なアニメーションができましたので、ウォークスルーをやったりしましたね。Shadeもありましたが、当時はすごく高価でしたので。他にもMacのスカルプトというソフトを使って作品を作っていたのですが、小さめの建築物であれば問題ないのですが、大きな商業施設となると、メモリが足りなくなってしまっていたんですね。それで困ったときに紹介してもらったのがLightWave 3Dでした。ちょうどLightWaveのプラットフォームがAmigaからWindowsへと移行したあたりだったんですが、LightWaveを導入することになったんです。
今も引き続きLightWaveを使ってらっしゃるんですか?
そうですね。LightWaveは使い続けています。動きが必要となるアニメーション作品を作る機会があり、Mayaも入れてみたんですが、ベースはやっぱりLightWaveですね。事務所のスタッフにはLightWaveのモデリングから教えるようにしています。LightWaveをベースとして、その先にmodoや3dsMax、mayaといった形です。
modoを導入されたきっかけを教えてください。
ラジオシティで高品質な画像を生み出せるソフトを探していたときに、「modoがいいよ」という話を聞いて、modoを導入しました。ちょうど建築のCG業界では、よりフォトリアルな画像のニーズが高まり、クライアントからもそういう絵を要求されていた時期に、modoに出会ったという感じです。レンダラーが搭載されたmodo 201から使っています。
スタッフ達の仕事を見ていますと、スピードとクオリティのバランスが良いのが魅力ですね。他の3DCGも導入していますが、modoのほうが一枚の絵を仕上げるまでの速度が違います。
あと事務所のスタッフが全員LightWaveベースなので、LightWaveからの移行のしやすさ、使いやすさ、データのやり取りのしやすさなどがあります。
では逆にmodoについて期待する点、要望などを教えてください。
そうですね。例えば他の高品質レンダラーなどを見てみると、カメラが実際のマニュアルカメラと同じ設定ができるので、同じ感覚で調整ができるんですが、そういった機能がついてくれると、スタッフに指示がしやすいのでうれしいですね。例えば、「F値やシャッタースピードがこれぐらいだと、どのぐらいの明るさになる」みたいな感覚でそのまま設定できるように、もう少しマニュアルカメラの設定寄りになってくれると、ライトの設定の曖昧さとかがなくなってくるのかなと思っています。
最後に今からmodoを始められる方、また建築をCGで表現される方にアドバイスなどがありましたら、お聞かせください。
建築であれば、実際の建物をよく見るということが大事です。あとはクライアントから求められるものを表現するために、基本的な図面などはもちろんのこと、建築の仕上げに関して、例えばマテリアルがどういったものなのかなどという点についても理解しておく必要があります。加えて、写真の勉強をすると良いですね。例えばカメラの設定でも、実際のマニュアルカメラを使ったことがないと、むちゃくちゃな数値とかで設定してしまったりします。雑学の幅を広げるというのも大事なことだと思います。
本日は、どうもありがとうございました。