ゲーム会社を経た後、フリーのクリエイターとして活動され、最近では東京おもちゃショー用の映像プロジェクトでも見事な作品を披露されている吉開 裕司氏にお話を伺いました。
高校卒業を期に、ものづくりへの好奇心から東京デザイナー学院でデザインの基礎を学ぶ。同学院を卒業後、株式会社トムクリエイトにて憧れのあったテレビゲームの仕事に従事。2004年12月に退社後、フリーランスとして、数多くのプロジェクトに参加する。
この業界へ進むキッカケは高校時代で、自分の世代は、小学生の時にファミコンなどが大流行した世代なんですが、自分も同じく子供の頃からTVゲームが好きでよくやっていたのですが、高校に入る頃には段々とプレイヤーから製作したいという方向に欲望が流れまして、高校で知り合った親友と夜な夜な怪しいゲームの企画書を書いたりしてました。今思うと完全にイタいですね。
そして進学の時期になり、どうしようかと思っていると彼から東京デザイナー学院のCGデザイン学科というコースのパンフレットをもらい、面白そう!と思い、そこに進むことにしました。ただ、当時のCGデザイン科ではDTPで必要とされるデッサンやデザインの基礎、2DCGや3DCGの基礎的な部分を学ぶことはできたんですが、いかんせん自分としてはゲームやエンターテインメントの企画とか映像などに憧れていたので、同学校を卒業後、DTP系の会社に就職することになるんですが、やっぱりゲーム会社をやりたいという夢が捨てきれず、わずか3ヶ月で退職してそれから約半年間、親に無理を言って実家で本格的な3DCGを独学で勉強し始めました。
はい。当時はあまりCGソフトも豊富にあるわけではなかったのですが、パソコン雑誌に載っていたLightWave 3Dが値段的にも手頃だったので、LightWave 3Dを買って独学で勉強し始めました。そこから半年間は映像を作ることに専念していたのですが、そろそろ就職しなきゃいけないということで、就職情報誌でゲーム会社を探し、その後約7年間ほどお世話になる(株)トムクリエイトに就職しました。(以下T社)
当時、T社ではプレイステーション用の新タイトルを開発している最中で、自分もCGスタッフの一員として入りました。当初はモデラーとして入ったんですが、自分で作っていたアニメーション映像を会社の人に見せたことがきっかけでLightWave 3DでCGムービーを作ることになり、会社で新たにCGムービーセクションを作り、ゲーム中に流れるCGムービーやオープニングムービーなどを任せてもらうようになりました。それ以降は退社するまでに、同タイトルのCGムービーをメインに様々な仕事をやらせて頂きました。
より幅広い映像の仕事をしてみたいと思い、T社を退社後フリーランスになり、在籍中からお世話になっていたサンライズさん関連でアニメーションのお手伝いをさせて頂いたり、その他のアートディレクターさんからTV番組の映像制作や、商品パッケージのCG製作などを手がけました。
T社を退社した時ですね。
会社では、ずっとLightwaveを使っていたので飽きていたというのもあってワークフローの見直しを行い、まず、モデリングで他に良いCGソフトは無いかなぁと思っていた時に、ある雑誌の記事でmodo102を見て、整理されたインターフェースや、SDSベースのモデリングでLightwaveとかなり近い感覚だったので、すぐ購入して使用してみました。H・R・ギーガーのエイリアンの作品集を持っていたので、まずはエイリアンをmodo102でモデリングし、Pixologic社のZBrush2.0でスカルプトを行い、PMG社のMessiahStudioでアニメーション、レンダリングをつけてテストしてみたりしていました。
そのうちmodoにレンダリングの機能が実装されるようになり、GIを使用してかなり高品質の画像が作れるようになったので、静止画ベースの仕事は、modoでモデリングからレンダリングまで完結できるようになりました。
そうですね。フリーになってから、いくつかの案件で印刷物やWebなどで使う商品カットのCG製作をさせて頂きました。いろんな分野の仕事をするのは、刺激があっていいですね。
多分、過去一番のアップデートですよね。とにかくアニメーションの機能強化が大きかったので、そこを重点的に使っています。今回、東京おもちゃショー用のTOYOTAさんのコンセプトカーの映像プロジェクトに関わったんですが、modo 601を使いました。
今回の映像パートの製作チームは皆、個人で活躍なされいるアーティストさんで構成されていました。デザイン/モデリング/アニメーション/オーサライズといった役割を分担し、CGスタッフは自分含め4人でそれ以外にディレクターのTGBデザインさんとイラストレーターの方のチーム構成で制作期間は約1ヵ月半ぐらいでしょうか。自分は、オーサライズなどCGパート全体の統括を担当しまして、初めて海外のレンダーファームを使ったり、ソフトウェア的な制限の対処などで苦労しましたが、最終的には、皆さんの力のお陰で良い映像になったと思います。
笑っちゃう話ですが、会場に来ていた海外の方が映像を見て、「この映像は、○○○ー(海外の超有名CGプロダクション)が作ったのか?」と質問された方がいたみたいで(笑)modoのレンダリングが、高品質なので映像の質感というか特徴によってそう感じたのかもしれません。
日本は、セルアニメーションが有名なのでこういった海外っぽい雰囲気の映像が珍しかったのかなと思います。いずれにせよ、CGクリエイターにとって、最高に嬉しい勘違いでしたね(笑)
ものすごくいっぱいあります(笑)。 とりあえずアニメーション関係の基礎的な部分の強化をしてほしいですね。シーン全体を自在に管理するツールや、ポリゴンの表示を自動で制限してリアルタイムに再生を行ったり、 音声データの読み込みや、ビューポートのオニオンスキンも欲しいですね。パーティクルなどのエフェクト系も頑張って欲しいです。
あと重要なのが、製作パイプラインの中でmodoがしっかり機能するためには、Alembicやmdd、FBX、OBJ、IGS(プラグインでサポート)など既にmodoがサポートしている汎用フォーマットの入出力の強化や、PTEXのサポートなど、他ソフトウェアとのパイプラインの関係をより堅牢なものにしていく事が重要だと思います。他のソフトウェアとの連携がさらに強固になれば、より幅広いユーザーの方がmodoを使ってくれるんじゃないかなと思います。
modoは、自分が何をしたいのかということが明確にわかっていれば、非常に使いやすいソフトだと思います。modoの場合、他のソフトウェアとは違い、左のタブから順番に進めていけばレンダリングまでいけるというレイアウトになっているので、今までCGソフトを使った事が無いデザイナーさんなどにとっても比較的とっつきやすいと思います。
洗練されたインターフェイスもいいですね。
また、クリエイターを目指される方へのアドバイスとして、自分の進む分野があると思いますが、それ以外のまったく違う分野なども覗いてみてもとても参考になる事が多かったりしますので、デザインだったり、実写だったり、いろいろ興味を持たれると良いんじゃないかと思います。CGはバーチャルな分野なので実際のカメラを持ってみるのもいいですよね。今は比較的安い値段でデジタル一眼で撮影を楽しめちゃういい時代なので、実際に自分で実写撮影してみてもとても面白いと思います。