国内でもユーザー間の交流が盛んになり始めたmodoですが、そのユーザー間のつながりにおける中心的な役割を担い、勉強会などを開催するmodoユーザーグループTOKYOを運営されている宮原氏。ご自身でもmodoを活用してディスプレイデザインを手がけられている宮原氏に、modoについて、またユーザーグループについてのお話をお伺いしました。
学生時代から家具工場に出入りし、大学卒業から家具職人見習いとして工場勤務。その後、ディスプレイデザイン会社にて百貨店ショーウィンドウから店内装飾のプラン〜現場まで担当。2008年 株式会社Flyingを設立し、現在に至る。modoユーザーグループTOKYO主催者。
前職からディスプレイデザインをプランニングから行う仕事に携わっているのですが、以前はショーウィンドウや店内装飾のイメージパースをPhotoshop(フォトショップ)で描いていました。当時は経験不足ということもあり、2Dでイメージパースを描くと、空間としてとらえたパースではなく、一枚の画として描いていたために、対象となる構造物のサイズに対する矛盾が生じたり、構成や角度を無視したパースが多かったんです。そのため、現場では施工の方たちに怒られながらも、なんとか対応してもらうというパターンも過去にはありました(笑)
その後、フリーになり、イメージだけではなく確証を持ちながら、きちんと最後まで責任を負えるデザインに向き合おうと考え、3Dの導入を検討しました。最初に購入したのはShade8 Proですね。modoに切り替えたのは、その約2年後ぐらいです。
弊社の場合、ディスプレイデザインの現場においてプランニングから関わることで、一つの企画書を作るのに数十カット必要になってきます。このためサイズの大小関わらず、一日に数枚〜数十枚描くことがあり、さらなるスピードアップが求められていました。
インターネット上で最適な3DCGソフトを探していましたが
– コストパフォーマンスに優れている
– macで使用できる
– レンダリングスピードが早い
– ギャラリーに掲載されている画質の高さ
といった点が、modoを選択する決め手となりました。
仕事の初期段階におけるイメージパースの場合、以前は手書きでラフを描き、Illustrator(イラストレータ)等で三面図を描いて、Photoshop(フォトショップ)で仕上げを行っていました。現在はラフスケッチ後に、三面図を描くことなく、イメージした形をそのままmodo上で作成してます。2Dとは違い、一方向だけではなく形状、奥行き、納まり全てを視覚的に確認しつつ、矛盾点をクリアしながら作業できるため、仕事がはかどります。
また、レンダリング速度が速いので、いろいろなパターンの検証を行えるのが良いですね。
弊社ではクリスマスイルミネーション等の企画やコンペにも参加しているのですが、今年は大阪のOrange Filmの柳村さんとコンペ案件で仕事をご一緒させていただきました(※画像1)。これは二重壁で奥がミラーの構造体となっていて、二重壁の間に150程度の隙間を空け、その中にチューブライトを配置しています。中の構造体はハーフミラーとなっており、無限反射で空間の奥行きと広がりを出し、不思議な空間のイメージを作りました。
modoを使う前であれば、こんな風になるんだけどな〜と頭の中にイメージがあっても、Photoshop(フォトショップ)で画におこすのはかなり難しいため、このような企画を提案することは諦めていたと思います。modoを使えば、頭の中のイメージを視覚化し、最終イメージに近い検証ができるので、クライアントへのプレゼンテーションも自信を持って行えるのが嬉しいですね。
また、modoを使用するようになったことで、ディスプレイデザイン以外のプロダクトやインテリアパースの仕事も依頼されるようになりました。
私がmodoを使い始めた時、日本語の情報が不足していてすごく困りました。周りに使用している方もいないので聞く事もできないし、本当に使ってる方はいるのかと少々疑問でした(笑)。最近では日比さんのチュートリアルビデオを始め有益な情報が出てきていますが、当時は情報が少なかったんです。独学では限界があるし、判断基準がなかったんですね。
そんな中、twitterで日比さんや他のユーザーさんと知り合う事ができ、個別にいろいろと教えて頂いたりしていました。仕事で大阪に滞在中、日比さんや頼本さんと食事をご一緒させて頂いた際に、「東京でもデモやって下さい。来て頂けますか?」と投げかけたところ「いいですよ。」と快く仰って下さったので、嬉しくて勢いで勝手にユーザーグループを立ち上げました。これで俺も少しは上達できる!と(笑)。情報共有の場が欲しかった、というのがユーザーグループ立ち上げのきっかけですね。
他のユーザーの皆さんも(私も今でもそうですが)、基本操作でつまずいているんじゃないかと思います。基本的な情報共有を積極的に行うことで、modoユーザーの最初のクオリティーベースをあげていきたい。その先の感性や作風で勝負し合える環境作りをしていきたいです。
当初は誰も集まらないんじゃないかと思っていましたが、日比さん、Luxology社の田崎さん、イーフロンティアさん、東京メンバー(頼本さん)の協力のおかげで、あっと言う間に50名前後参加者を集める事が出来ました。本当に感謝しています。
ユーザーグループを通じて様々な業種の方達と知り合う事ができました。経歴も経験も違う先輩方のお話を聞く事ができ、新しい視点や考え方を教わったりしました。
modoユーザーはなぜか親切な方が多く、色々教えて頂けます。懇親会でも質問された側が分らない場合でも、近くの人が教えてくれたりと皆で仲良く情報共有をおこなってますね。メンバー同士ポートフォリオを持ち合って、仕事や作品披露をあちこちで見かけます。
また、情報交換だけでなく、最近ではメンバー間で仕事をお願いしたり、誰某に仕事お願いしたいんだけどな〜とスカウトの電話が私にかかってきたり、と仕事に繋がる事例も出てきました。非常に喜ばしい事です。誰か、ボクもスカウトしてください(笑)。
もともと3D畑の人間ではないので、他のソフトについては多くは語れませんが、コツさえつかめば簡単にある程度の品質のものがすぐにでも作り出せるという点でしょうか。
以前、modoで簡単にシーン作ってレンダリングしたパースを持って打合せで提出したら、クライアントから他のソフトで作った画像を見せて頂き、「このくらいのクオリティーで簡単なものでいいので、速く安くできませんか?」と言われましたので、「努力します!」とだけ答えておきました。
さすがに「このパースは30分程度で作ったものです。」とは言えませんでしたね(笑)。
柔らかいものの表現できるクロスシュミレーション機能が欲しいです。あとさらなるレンダリングのスピードアップが望めればいいですね。
今後、隔月でのミーティングを行きたいと考えています。また不定期で小規模な勉強会もやってみたいです。導入前〜購入一年未満の方のみのミーティングとか。
あと、まだ妄想段階なんですが、事前に課題を出して(予習あり)全国一斉スピードモデリング大会とか面白いかなと思っています。ネット上でエントリーして同じ時間に一斉にモデリングを開始し、他の参加者の画面が一つの画面でみれるといいですね。そのうち、マクロやスクリプトを事前に仕込んでいて一瞬で仕上げるという強者も出てくるかもしれません。この行為はドーピングとみなし、減点対象にします。むしろ別の賞ですね。フライングもNGです。
modoは、コツさえつかめ直感的に操作できるクリエイティブな3Dアプリケーションですので、デザイナーの方にもおすすめです。悶々と頭でイメージするより簡単に作って視覚的にイメージを確認できますし、そうすることでより深くデザインを考えることができると思います。
以前と比べ日本語の情報も増えましたし、分らない事があれば聞く相手も、ユーザーが集まれる場所(勉強会)も出来ました。積極的に活用して頂き、もっと盛り上がっていって欲しいと思います。