リアリティ溢れる戦場の雰囲気を描き出すことに成功した映画「The Monuments Men」(邦題:ミケランジェロ・プロジェクト)。その雰囲気作りにNukeとMODOが大きく貢献しました。
ここでの事例となる「The Monuments Men」は実話を元に制作された、第二次世界大戦中のドイツを舞台に繰り広げられるストーリーです。歴史的背景、瓦礫の山となった街並みや広大なエリアを描き出すのに、MODOとNUKEが大いに貢献しました。
Cinesiteで制作に携わったThomas Dyg氏曰く、「 この映画では何マイルにも及び破壊されたジーゲンの街のディテールを描く必要があり、それは今までのものとスケールが比べ物にならない程の規模でした。歴史的な流れを汲み、シリアスな雰囲気を映し出す「The Monuments Men」で要求されたのは現実味あるフォトリアリスティックな背景制作であり、ストーリーに馴染む雰囲気が重要視され、この点においてMODOとNUKE は非常に優れた良い働きをしてくれました。」とのことです。
「MODOで一番気に入ったのが、インタラクティブなレンダリングとリプリケータ機能ですね。実際、クライアントと共にインタラクティブなセッションを設けることで、より効果的でクリエイティブなアプローチを選択することができ、それが大きな成果につながったと思います。」
「この作品では主人公が戦場の前線に近づくにつれて、破壊された情景が途端に多くなっていきます。目の前に広がる壊滅的なジーゲンとアーヘンの街を作り出すのですが、ここでのライブショットとのマッチングは特にチャレンジングなものでした。広大なスケールの背景に散らばる、恐らく気付かれもしないような残骸や破片をハンドリングするのは、それまでの経験の中でもかつてないほど貴重なものになりました。カメラも大きく動きますし、見渡す限り瓦礫だらけというシーンなのです。
破壊されつくされたジーゲンのショットにおいては建物、瓦礫、焼け焦げた木々等々、膨大なモデルを配置する必要があるのですが、このような作業にMODOが大いに活躍してくれました。カメラの動きも上から下へと大きく動く、難しいショットです。
また主人公2人が英国に降り立った際の飛行場の制作にもMODOが使われています。飛行機やトラック、クルマ、世界大戦中の雰囲気を作り出すのに一役買っているのです。」
“MODOは私達の背景作成へのクリエイティブなアプローチにぴったりなツールです。コントロールされたやり方で、繰り返しアセットを作り出すことが非常に簡単になりました。NUKEと連動させることで、有効なツールセットとワークフローを提供してくれています。”
「背景の制作では多数のパスをハンドリングする必要があり、プリコンポジットの段階からNUKEに頼る部分が多くありました。直感的に調整できるようにデザインされているため、単なるパスの調整というだけではなく、映画の雰囲気に沿ったエッセンスを盛り込むことができ、大変クリエイティブなプロセスを行うことができました。
MODOから出力するプリコンポジット用の初期レンダリングはラフなものですが、NUKEで作業を進めるうちに、パスに対して様々な調整を行い、全体を馴染ませることができます。こうすることで最終的に良い方向へと導いてくれるのです。」
「今ではMODOとNUKEは背景制作チームに、アセットのレイアウトそしてレンダリングという点において、欠かせないツールになりました、機能的にはもちろんのこと、ユーザーにとってフレンドリーで直感的に操作できるという点で大変優れているからです。また、MODOは私達が考えるクリエイティブな背景制作アプローチに丁度良くフィットしています。例えば何か他のアプローチは無いか?と考えた時にも、何かしら応えてくれるのが良いですね。NUKEとの連携という面では、ワークフローもツールセットとしても、1つのパッケージのようなものですね。
他のツールに加え、テクスチャ作成チームでは3DペイントツールとしてMARIを用いる機会も多いです。今回の事例の「The Monuments Men」では使われていませんが、Cinesiteの作品の多くでMARIが採用されています。」