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ラティス&ラップデフォーマが進化したラップエフェクタ

https://www.youtube.com/watch?v=saR4Rwx7HiI

Modoにはメッシュを囲むラティスやラップメッシュを元に、変形を行うデフォーマが用意されていますが、Modoバージョン16.0ではそれらをさらに進化させたラップエフェクタが用意されています。

まずは従来までのラップデフォーマを見てみましょう。ラップデフォーマは低解像度のメッシュに対して設定した変形が、高解像度のメッシュにそのまま適用されるというものです。従来まではこの低解像度のメッシュは高解像度のメッシュをぐるりと包み込むように設定されている必要がありました。高解像度のメッシュに対して、ラップデフォーマを適用すると、ケージメッシュを選択するパネルが出てきて、低解像度のメッシュを指定すると、低解像度のメッシュを変形させれば、高解像度のメッシュも変形させることができました。ただしあくまでケージとなる低解像度のメッシュは目的となる高解像度のメッシュを包み込むというのが必須条件でした。

これが16.0から追加されたラップエフェクタでは、そのような制限がありません。ラップエフェクタを設定する際は、高解像度のメッシュを選択した状態で、スケマティックビュー 追加 Deformers エフェクタ Mesh Wrap Effectorを追加します。メッシュラップエフェクタのプロパティを見るとラップメッシュを設定する箇所がありますので、ここで低解像度のメッシュを指定します。そうすると低解像度のメッシュへの変形が、高解像度のメッシュへと反映されるようになります。

従来までのラップデフォーマと16.0から搭載されたラップエフェクタ、この二つの大きな違いはそのコントロールの多さにあります。ここで簡単なサンプルシーンで見てみます。サンプルシーンには単純にセグメントが多数分割されている高解像度のメッシュと、それを囲む低解像度のメッシュがあります。従来までのラップデフォーマでは、コントロールも少なく、低解像度のメッシュに合わせた変形が直線的な動きとなっています。それに対して16.0からの場合はより多くのコントロールが用意されて、滑らかな変形が可能になっています。

またラップエフェクタの場合、ラティスデフォーマも行うことができます。従来までのラティスデフォーマは、デフォーマを適用すると、格子状にラティスが組まれるのですが、この格子を構成する頂点はひとつひとつがロケータとなっています。このため、ロケータを動かすことでメッシュを変形させることができ、ロケータであるがゆえにアニメーションなども簡単に設定することはできるのですが、その反面ラティスが細かければ、その分シーンの中にロケータが多く存在することになり、管理も煩雑になります。

これに対してラップエフェクタの場合、ラップエフェクタを適用したら、プロパティにあるラップメッシュを作成ボタンをクリックするだけで、ラティス用のメッシュを作ってくれます。ラティスデフォーマの場合とは異なり、ロケータではなく、指定したセグメント数で切られるバウンディングボックスの形状のメッシュが自動的に作成され、これを調整することで、すぐにメッシュの変形を行えるようになります。

ラティスデフォーマの機能も内包して新たに生まれ変わったラップエフェクタですが、このエフェクタを使うことで、ダイナミクスを含め、低解像度のメッシュに対して施した様々な変形を、すぐに高解像度のメッシュへと反映させることができるようになります。ここではサンプルを2つほどご紹介します。

一つはダイナミクスのソフトボディを使ってスカートを揺らしています。中に円柱を入れて衝突させ、さらに下から風を当てる設定となっており、シンプルなスカートの形状がアニメーションで変形しています。これを高解像度のプリーツスカートの方へと反映させます。初期状態を設定するためセットアップモードに入ったらプリーツスカートを選択し、ラップエフェクタを適用します。もし誤ってセットアップモードに入らず、既に低解像度のメッシュが変形している状態でラップエフェクタを設定してしまった場合には、セットアップモードへと入り、バインド位置を設定ボタンをクリックしてください。これでセットアップの状態をやり直すことができます。

これでプリーツスカートの方に変形が反映されるようになりましたが、想定していたよりも変形がうまくできていないようです。これは低解像度のメッシュの各頂点の影響範囲が広すぎて、スムーズになりすぎているためです。こういった場合には、ラップエフェクタの全ポイントを使用オプションをオフにし、手動で影響範囲を調整すると良いでしょう。描画範囲を常時にしてみると、各頂点の影響範囲が大きくなりすぎているのがわかります。半径の値を調整することで、より低解像度のメッシュに沿った変形が可能になります。

もう一つのサンプルは、ダイナミクスのソフトボディとトランスフォームのデフォーマを使った例です。アニメーションを再生してみると、布のようなものが波打つように変形しているのがわかります。このようにソフトボディとトランスフォームを組み合わせる方法については、日本語解説ビデオ「布などの柔らかい形状に対して部分的に動きを付けるには」で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてみてください。

ではこの変形具合を高解像度のメッシュに適用してみましょう。セットアップモードへと入り、高解像度のメッシュに対してラップエフェクタを適用したら、影響範囲を調整します。これで高解像度のメッシュに対しても同じように変形を行うことができました。

ラティスエフェクタでは影響範囲によって変形が反映されますので、低解像度のメッシュが厚みを持つ必要もありません。このサンプルで使用している低解像度のメッシュのポリゴン数は128、高解像度のメッシュのポリゴン数は83,000程度となっていますが、非常にスムーズな変形が行えています。この高解像度のメッシュに対して、直接ソフトボディをシミュレーションしたり、トランスフォームのエフェクタをかけると、演算にかなり時間がかかることが予想されますが、低解像度のメッシュで変形をコントロールすることにより、処理全体を軽くすることができますので、望む変形を行えるようになるまで何度もトライアンドエラーを繰り返せるようになるかと思います。

2022年6月17日