バンプ(Bump)とディスプレースメント(Displacement)、似ているようでこの二つの働きは異なります。どちらもメッシュの凹凸表現を可能にしてくれますが、決定的に違うのが、バンプが表面の法線を加工することで凹凸があるように見せているのに対し、ディスプレースメントは実際にジオメトリを変形させることで、凹凸を表しています。このため、特にメッシュの端部分ではディスプレースメントは形状に沿った実際の凹凸を正確に表現できるのに対し、バンプでは凹凸が表現できないという欠点があります。
では凹凸を表現するのに、正確に表現できるディスプレースメントではなく、バンプを使うときのメリットは?というと、ひとつにレンダリング時間があげられます。ディスプレースメントの場合、実際にジオメトリに凹凸をつけていくため、レンダリング時に展開されるポリゴン数がバンプを使っているときと比べて膨大な数に膨れ上がるため、それと比例してレンダリング時間も長くなってしまうのです。
このバンプとディスプレースメント、お互いの良いところを組み合わせて使うためのチップスが、今回ご紹介する9b studio社製のチップスビデオです。
9b Bump & Displacement Tip in modo 501 from 9b studios on Vimeo.
このチップスを活用することで、ディスプレースメントを適用する箇所をカスタムで指定できるようになるため、バンプを全く使わずディスプレースメントだけで凹凸を表現する場合よりも、レンダリング時間を短くすることができますし、ディスプレースメントを全く使わずバンプだけを利用するよりも、より見た目に正確な形状を表現できるようになります。
9b studioは今までもPADやSES2、SLIKといったマテリアル系のキットを出したり、Luxology社のアセットでもコンテストを開催したり、また数多くのプリセットを提供しているだけのことがあり、メッシュの形状によってはこのチップスがとっても役に立つケースがありそうです。バンプを使うべきか、ディスプレースメントを使うべきか、で頭を悩ませたことがある方は、このチップスのやり方も是非参考にしてみてください。