インタビュー - MODO JAPAN GROUP 情報
総合学園ヒューマンアカデミー横浜校ゲームカレッジインタビュー
2018年 01月11日
まずヒューマンアカデミー横浜校ゲームカレッジで3DCGの授業を受講されている1年生の宮本様、大森様、2年生の西連寺様にお話しをお聞きしたいと思います。
◆1年生のお二人はMODOを触ってみていかがでしたか。
大森 私は最初3DCGが全然出来なかったんです。MAYAの講義もあるのでMAYAも触っていたのですが、個人的に MODO は画面がすっきりしていて分かりやすいような印象をうけて、やったらできちゃったみたいな感じですね。
宮本 私も最初はやっぱりインターフェイスが独特で難しいなというのはありました。タブを行ったり来たりするのが多いような気がして。でもずっとソフトを触っているとだんだん操作に慣れてタブで便利なツールがまとめられている事が分かってきた感じですね。そこからは、あまり迷わなくなりましたね。
◆MODOの便利だと思うところや気に入っている機能があれば理由と合わせて教えていただけますか。
大森 MODOの気に入っている機能はレンダー周りの機能です。直感的に操作でき、プレビューレンダーではスペキュラやラフネスの調整をしながら最終レンダリングに近い状態のものを映してくれるので完成型をイメージしやすく、楽しいです。
西連寺 UV作成ツールが他のソフトに比べて自動で色々な形状に処理をして作ってくれるのが使いやすくていいと思っています。
◆今の目標や今後の展望などお聞かせいただけますか
宮本 直近の話なのですが、いま受けている授業でテストの課題がありまして、まずそれを一つずつ完成させようと思っています。
私はもともと2D志望でしたが、やってみたら3Dも楽しくて。卒業までには3Dソフトもちゃんと扱えるようになって表現の幅を広げたいですね。
大森 私は背景モデラーを目指しています。ゲーム会社に背景モデラーとして就職して、ゲームのクレジットに名前が載るのが夢です。
西連寺 私は今2年生でもうすぐ就職がきまりそうな感じなので、業界で頑張っていきたいと思います。
◆皆さん、ありがとうございました。
それではここからはヒューマンアカデミー横浜校ゲームカレッジでMODOを使って3DCGを教えていらっしゃる佐伯先生にお話しをお聞きしたいと思います。
◆MODO を利用されている授業の内容、カリキュラムの流れをお教えいただけますか。
私は「ビジュアル表現基礎」という授業を担当しており、MODO の基本操作と After Effects の基本的な操作を教えています。私の方で 3DCG の基礎まで教えて、その次は別の先生が MODO を使ってもう少し踏み込んだ内容を教える、という流れになっています。
ほとんどの学生はこの授業で初めて 3DCG ソフトに触れるので、MODO を使って「3D とは何か」「材質とは」「レンダリングとは」「アニメーションとは」といった3DCG の基礎をすべて教え、最終的にアニメーション(動画)を出力するところまで行い、その後 UNITY や UnrealEngine に持って行ってゲームにしたり、 After Effects でコンポジットも行っています。
◆MODO を選ばれた理由をお教えいただけますか。
機能面で見て MODO は他のソフトに引けを取らないと思います。とくにモデリング作業をしながらプレビューレンダリングでリアルタイムに仕上がりを確認できるのはとても効率がいいので、大きなメリットになると思います。すぐに結果を見られるというのは 3DCG ソフトをはじめて使う学生にとっては食わず嫌いが減るのでとても良いですね。
マテリアルやテクスチャ、環境などのアセットが用意されているのも良いですね。レンダリング設定のグローバルイルミネーションもデフォルトでONになっているので、少ない手順できれいなレンダリング画像を作ることができます。なので、学生たちが学ぶのにスタートがきりやすいんですよ。好きになりやすいというか、興味を持ちやすいといいますか。昔のソフトだとモデルを作っても初めは真っ黒い空間なので、その中にライトを置いたりHDRI を読み込んで環境を設定したりと、スタートをきるのに時間がかかってしまいます。
MODO は後発のソフトということもあると思うのですが、複雑なフローがなく最初にポンと設定しさえすれば、画を素早く出力することができます。限られた授業の時間でポイントを押さえたい学生にとって、結果が早く出せるというのは大事ですね。
◆MODO を授業に使用されていかがですか。
機能面で MODO は MeshFusion やプロシージャルモデリング、スカルプト、オートリトポロジなどと多彩ですし、ペイント、テクスチャベイクもできる。パーティクルもシミュレーションもできる。MODOだからこれはやりづらい、表現が難しい、教えるのが難しいということがあまり無いので3DCG の標準的なカリキュラムで教えることができます。あと、UIが複雑ではないので講義を非常にスムーズに進めることができます。
◆生徒様の反応はいかがですか。
他ソフトを使っていた時に比べ、極端に使いにくいといった反応は少なくなりましたね。初めて3DCGに触れるスタートラインで、この反応はとてもうれしいです。
新しい機能や技術の説明、その操作の説明はどうしても複雑になりがちですが、MODOを使うと講師生徒共に少ないストレスで授業を進行することができ、尚且つ生徒の習得度も高められることが出来ているので、MODOを選択して良かったなと感じています。
◆MODO の導入により、ほかにはどういったメリットがございましたか。
MODO を使っているのはゲームカレッジの授業なのですが、MODO はゲーム制作の授業にすごく向いているソフトだと思います。
ノーマルマップなどのテクスチャ要素の生成やテクスチャベイク機能、Unreal Engine や UNITY とのやり取りの機能が標準で搭載されているのがいいですね。他の 3DCG ソフトだとノーマルマップのテクスチャ作成やテクスチャベイクがここまで簡単じゃなかったり、きれいにするなら別のソフトを使わないといけなかったりします。あと作成したモデルや設定をプリセットとして保存出来るのもいいですね。
ゲームエンジンで使用する素材の制作環境として、MODOはすごく整っているような気がします。
◆MODO へのリクエストなどございましたらお教えください。
私は 3ds Max で作業することもあるので、MODO にプロシージャルモデリングの機能が付いたのはうれしいですね。考え方が 3ds Max に似ていて入りやすかったです。それでプロシージャルモデリングの機能に、もっとポリゴン編集の機能が追加されるといいなと思っています。具体的にはデフォーマを使った変形ではなく、頂点やポリゴンをダイレクトに編集し、記憶できるツールをもっとプロシージャルモデリングでサポートしてほしいです。
あと「CharacterBox 」「Auto Character Setup Kit 」のようなキャラクターリグの機能が標準で搭載されるとうれしいですね。扱いやすいキャラクターリグが標準で導入されれば、もっとMODOだけで完結しやすいフローを作れるかなと思います。
◆本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
六水条 剣氏インタビュー
2017年 11月08日
六水条 剣
ろくすいじょう つるぎ
twitter : @rokusuijo
大阪市在住。某テーマパークでアルバイトする傍ら独学でゲーム制作を行い、企画からイラスト、モデリングなどほぼ全て一人で制作した代表作の3D格闘ゲーム「FateAxis」を完成。
100円ショップダイソーでの販売や、その後開発した「FateAxis2AC」を大阪南森町のゲームセンター「コーハツ」にて隔週木曜日に稼働中。(2017/11/02現在)
趣味はゲームセンター通いと映画鑑賞、ジャズピアノ鑑賞、演奏など
最近は作曲と効果音作成に興味を伸ばしている。
◆自己紹介をお願いします。
六水条剣(ろくすいじょうつるぎ)と申します。
個人でインディーズゲームを制作しており、企画やデザイン、3Dモデルのアセットの制作からゲームシステムの構築などほぼ全般を一人でやっています。現在、関西ゲーム制作部(関ゲ部)さんに時折お邪魔しながらゲーム制作をしております。
◆ゲームを制作しようと思ったきっかけをお教えいただけますか。
興味を持ち始めたのは学生のころですね。
もともと絵を描いたりしていたので、何かを作るというのは好きだったんですよ。ゲームも好きだったので、自分で描いた絵でゲームがつくれたら楽しいだろうなという動機だったと思います。ちょうどそのころ、雑誌広告で「デジタルロケ」という国産のオーサリングソフトが載っていて、「デジタルロケを使ったらゲームがつくれる!」という情報を見て、自分で買ってそれが始まりでした。
それで、デジタルロケで「FateAxis」という格闘ゲームを作って、インターネットで公開していたんですが、100円ショップのダイソーさんから「うちのブランドで売らないか」とオファーがありまして、ブラッシュアップしたものを製品化してダイソーさんから販売しました。
◆先方から直接連絡があったのですか。
そうですね。ダイソーの営業の方からメールがきまして。「よかったらうちで出しませんか!」という感じでしたね。
「FateAxis」のあともいろいろなゲームの制作を続けていたのですが、だんだん「デジタルロケ」の表現に限界を感じ出したんです。「デジタルロケ」は今でいうゲームエンジンで、モデリングからモーション、プログラミングまでオールインワンでできるツールだったのですが、だんだん時代に合わなくなってきたんです。それで新しいツールを探していた時に知り合いから教えてもらったのがMODOだったんですよ。
◆MODOのバージョンはいくつくらいのころだったのですか。
modo 601から701のころですね。キャラクターアニメーションが搭載された時期だったと思います。
◆ゲームシステム側のソフトウェアはどうされたのですか。
最初は Unity と連携して作ろうと思っていたんですよ。でも、当時の Unity はゲームを作るのにプログラムのコードを書かないといけなかったので、他のツールを探す傍(かたわ)らでMODOでゲーム用の3Dモデルを作っていました。
◆現在は Unreal Engine で制作していらっしゃるのですか。
そうですね。2015年に Unreal Engine 4 が無料化され、作例のゲームのクオリティも非常に高く、これなら新しい表現ができるんじゃないかということで触りだしました。そのころ既に MODO で3Dモデルを作って Unreal Engine に読み込むという流れで制作をしていましたね。MODO 801、901 の頃だったと思います。
◆MODO から Unreal Engine にモデルのデータを持っていかれる時はどのようにされていますか。
ゲームレイアウトにある「FBX出力」の機能を使っています。
基本的には、ひとつひとつデータを確認しながら Unreal Engine に送るようにしており、「Unreal Bridge」は使っていません。サイズや雰囲気を確認するための仮のモデルの場合には「Unreal Bridge」を使うこともありますが、最終的にはMODOのシーン内のアイテムを個別に「FBX出力」するという今のワークフローに落ち着きました。
ただ、2,3日でゲームを一タイトル作る Game Jam (ゲームジャム)というイベントが全国で開催されているのですが、そこではクオリティよりもスピードが重要なのでそういったケースでは「Unreal Bridge」はすごく役に立つ機能かもしれませんね。二つのモニタを並べ、それぞれUnreal Engine、MODOを表示させてチームでディスカッションし、すぐにモデルを送ったりできますし。
◆ゲームシステムの部分は Unreal Engine のブループリントで構築していらっしゃるのですか。
そうですね。基本はまったくコードを書いていません。プログラム的な知識とアルゴリズムは理解しているので、それを元にブループリントで制御するよう組み立てています。
◆MODO, Unreal Engine の他に使われていらっしゃるソフトはございますか。
Substance Painter と Substance Designer を使っています。あと Marvelous Designer も少し使っています。Substance Painter / Designer はテクスチャリングの作業、Marvelous Designer は衣装や背景をモデリングする際のラフモデルの制作に使っています。
◆3Dゲームを制作する際にいろいろな種類のモデルを作られていると思いますが、作るのが楽しいモデルはありますか。
やっぱりキャラクターですね。モデリングだけではなくてセットアップまでやらないといけないので苦労するんですが、完成してうまく動いたりしたときは楽しいですね。
でも最近は背景も好きになってきています。いろいろなパーツを先に作っておいて、それらを組み合わせて背景を作るというのは自分に合っているような気がします。
まず大まかにラフなモデルを作ってそれをパーツや要素に分解し、MODOでモデリング、そして Unreal Engine で配置するという手順でやっています。ゲームエンジンで使用する背景のモデルの制作には、例えば簡単な部屋でもある程度のクオリティが必要だと半月から一か月はかかると思うんですが、MODO と Substance Painter を連携してこの手順で制作すると数日くらいで完成しますね。
◆他の3DCGソフトウェアとMODOを比較していかがですか?
MODOはモデリングやアニメーション、UV展開のようないろいろなツールがレイアウト、パレットで分かりやすく分類されていて使いやすいですね。タブですぐに切り替えもできますし。今日はモデリングをやろう、今日はUV展開をやろうといった作業の切り分けもできていいと思います。
あとカテゴリーが違っても操作が共通しているのもいいですね。3Dモデルに対しての作業とUVマップに対して行う作業は、選択やトランスフォームなどの編集を同じオペレーションで行うことができます。こういうことをしたいときに、このツールが使えるんじゃないかという流れを頭の中でつくりやすい。なのでサッと作業ができる、結果的に早く作れる、というのがありますね。これは他のツールではあまり感じなかったことです。
◆今後MODOに期待する機能、要望がありましたらお聞かせください。
モデリングに関しては一通りの機能がそろっていて使いやすいんですが、テクスチャの機能、アニメーションの機能を強化してほしいです。
まずテクスチャについてですが、今ゲームなどで使用するモデルは複数の画像をマッピングする必要があるので、それらをまとめて作ったり出力したりできるといいですね。
Substance Painter や Substance Designer だと一回の工程でベースマップ、ノーマルマップ、ハイトマップなどが全て作れるんですよ。その作業スピードを考えるとどうしても Substance Painter や Substance Designer を使うことになるので、そういった作業もMODOで出来るといいなと思います。
あとアニメーションについては細かい話になるんですが、IKで制御されているスケルトンの角度等が簡単に取得できるといいですね。現状でもノードを組んで取得したり、コントローラを追加すれば制御できるんですが、IKがONのときでもFKのようにポーズを設定できるといいなと思います。
◆これからMODOを導入される方に、一言アドバイスをお願いします。
ゲームに限らず何かを作るときには必ずトライ&エラーで作業を進めることになります。そのトライ&エラーの数をどれだけこなせるかが、成長する近道だと思うんです。MODOだとトライ&エラーの繰り返しがすごく簡単にできて、モデルの作成と修正/調整を短時間に行うことができます。イメージした作業工程に沿って手を動かせばモデリングを進めることができますし、ゲームエンジンとの連携も良いので作ったモデルをすぐに確認できる、それが簡単にできる、そこが一番の魅力だと思っています。ちょっと作ってみたいなとか、やってみたいなという人には是非トライしてほしいです。
あと公式サイトに色々な「Tips」が上がっているのが便利ですね。最近のソフトにはいろんな機能があるんですが、なかなか全てを覚えるのが難しいので、ああいうサイトでピンポイントに、しかも日本語で丁寧に解説してくれる情報が得られるので大変助かります。
◆今後のご予定、展望を教えていただけますか。
Unreal Engine でいろいろなゲームを制作していきたいと思っています。
今ちょうどインディーズゲームが脚光を浴びており、いろいろな企業がゲームの制作者と提携してゲームをリリースしていたりするので、そこに提供できるような作品を作っていきたいなと思っています。ちょうど今年の11月にある「デジゲー博」というイベントに向けてひとつタイトルを作っているところでして、今このタイトルを制作しているワークフローが確立できれば次回作はもっとスピードアップして作れるかなと思っています。
◆本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
株式会社スタジオ・ビーム 広瀬 明氏インタビュー
2017年 06月02日
広瀬 明
ひろせ あきら
株式会社スタジオ・ビーム
CGデザイナー
DTP業務に就くかたわら、徐々にCGの展開も増えそのままメイン業務として担当。
スタジオ・ビーム Web サイト
◆スタジオビーム様のお仕事をご紹介いただけますでしょうか。
弊社では印刷組版とデザイン・企画等の業務を中心におこなっています。
その中で、カタログや広告などに掲載する商品画像を3DCGで作成/提供し、使用していただいております。
以前は商品の発売前にその商品のモックアップを実際に作成し、スタジオで撮影して商品画像を作っていましたが、現在は3DCGで商品画像を作っています。
また、一般の消費者の方の目に触れない棚割りシステム用の画像も作成しています。
メーカー様、販売店様が店頭での商品の陳列を検討する際にはいろいろな方向から見た商品画像が必要になるので、カタログ用の画像の作成と並行してそちらの作業も行っています。商品のモデルを3Dで作っているとカメラアングルを変更してレンダリングすれば対応できるので便利ですね。
◆MODOを利用されるきっかけを教えていただけますか。
以前は Shade を使用していたのですが、マッピングに苦労していて何枚ものテクスチャーを切り貼りして対応していた時期がありまして、そこで当時興味のあったMODOでやってみようかなと思いました。
MODOのポリゴンモデリング、UVマップ、グローバルイルミネーションといった機能にも興味がありましたね。MODOのグローバルイルミネーションのレンダリングは設定を詰める前の段階でもきれいな画像が出来上がるのがよかったです。
あと機能面と価格のバランスも魅力的でした。
◆MODOのどういった機能を便利にお使いいただいていますか?
我々の仕事では、テクスチャーに使用する画像ファイルは商品のパッケージやラベルの印刷データをそのまま使用しています。ですので箱の展開図やラベルに合わせてモデルのUVマップを編集することになるのですが、MODOのUV編集はポリゴンモデリングのツールと同じように使用でき、非常に柔軟に利用することができて良いですね。
パッケージやラベルはゆがみの無いきれいな状態にマッピングする必要があり、MODOだと細かい調整ができてうまく貼りこむことができます。
あと、シェーダーツリーのレイヤー構造も気に入ってます。パッケージのラベルは透明で光沢の強いフィルムの上に不透明なマットのインクで印刷を指定されるなど、異なる質感を活かしたデザインも多く、印刷の版分けが強く意識してデザインされています。MODOのシェーダーツリーはグループやレイヤーマスクを使って実際の版分けと同じようなレイヤー構造でラベルを表現することが可能で、シェーダーツリーで版の表示をON/OFFできるようにしていれば確認も簡単です。
それとレンダーパスの機能も直観的に使用できて便利ですね。レンダーパスは多方向の画像を作成する時にアングルを登録して使用しており、この機能がなかった以前のバージョンではアニメーション機能を代わりに使っていました。
◆MODOのワークフローについて
我々は様々な形の商品を取り扱っていますがブランドごとに同じデザインが施されており、ブランドの色味、品質の統一ということを優先させた結果、できるだけシンプルなシーンをつくるというところにたどり着きました。
現在はライトアイテムは使用せず、イメージベースドライティングだけでレンダリングしています。
※透過物の商品にはバックライトを使用しています。
取り扱う点数が多いので、個別のライトやPhotoshopでの後処理を含むワークフローにすると作業量が膨らんでしまうので、なるべくMODOのレンダリングだけで完結するようにしています。
ほぼ後処理無しでもMODOのレンダリングは綺麗にでてくれるので助かっています。
プレビューレンダリングではライトや反射板の位置変更も確認も素早くできますし、シェーダーツリーではシーン全体を一時的に白一色にしたり鏡面一色にしたい場合でもON/OFFで簡単に切り替えが行えますので、よりハイライトを入れたい場所、シャドウを落としたい場所が調整しやすいです。
試行錯誤もまだまだありますが、とりあえずは現在のワークフローに落ち着いています。
◆MODOの他に利用されているソフトウェアはございますか?
まだ学習中ですが、V-Ray for MODO、ZBrush、Substance Painter なども触っています。個人的にトレンドな手法も触っておきたいという理由ですが表現の幅は広がりそうです。
V-Ray for MODO はサブサーフェイス、透明なモデルの表現がきれいに出るので気に入ってます。
MODOとの連携も問題無く活かせるのも良いですね。
◆今後MODOに期待する機能、要望がありましたらお聞かせください。
現在は簡単なスクリプトで対応しているのですが、バッチレンダリングの機能を標準で搭載して欲しいですね。
基本的に1つの商品は1つのファイルになるよう管理しており、それのバリエーション違いで数十点のレンダリングを短納期で行わないといけないのです。
一つのシーンを長い時間をかけてレンダリングするというのではなく、レンダリング時間の短いファイルを多数レンダリングする場合には、バッチレンダリングの機能は必須ですね。
◆これからMODOを導入される方に、一言アドバイスをお願いします。
MODOはデザイナーの方にも非常に強力なツールではないでしょうか。モデリングも作成したい形状にたどり着きやすいです。
マテリアルのシェーダツリーもPhotoshopのようなと教えてもらえると早く理解できました。アイテムマスク等も利用していくとこちらも非常に柔軟なんですよね。
個人的には物理ベースのマテリアル、ゲームエンジンなど新しい機能もバージョンアップで取り入れてくれていますし、V-Ray, CharacterBox 等の形で機能が追加されるのも非常に楽しみです。
昔はWEBで検索しても英語版のビデオしかなくて動画を見ながらクリックしているアイコンの位置を目で追いかけながら学習していましたが、今はMODO JAPAN さんの公式動画もすごく充実しているので、覚えやすいのではないかと思います。過去の動画も良く拝見しています。
◆本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
株式会社モワノー 瀬邉 尚貴氏インタビュー
2017年 05月24日
瀬邉 尚貴
せべ なおたか
株式会社モワノー 代表取締役
プロフィール
1976年生まれ。愛知県在住
2013年に株式会社モワノーを設立
MODO・ZBrush・3D-coatなど多様な3Dソフトを使用してモデリングを行う
美少女フィギュア・可動フィギュア・プラモデルデータなど数多く手掛ける
株式会社モワノー WEBサイト
◆それでは初めに株式会社モワノー様のお仕事をご紹介いただけますか。
弊社では主にデジタル造形でフィギュアの原型を制作しています。納品の形態は依頼されるメーカー様によって異なり、データで納品するときもあれば、3Dプリンタで出力したものを納品する場合もあります。着色したモデルを納めるときもありますね。
◆着色モデルを納品される場合もあるんですね。3Dプリンタの機能で着色していらっしゃるのですか。
実際に手で着色しています。3Dプリンタで出力した原型をレジンで複製して塗装します。業界でいうデコマス(デコレーションマスター。展示等に使用する見本モデル。)の状態です。
弊社は、3Dデータの製作から量産までの一連の流れの中で、お客様のニーズに合わせた形式での納品に対応しています。
◆最近、デジタル造形のお仕事は増えてきているのですか。
そうですね。いままで手で造形をされてたところが、デジタルに移行されるケースは多いと思います。
◆モデリングのお仕事の場合、元になる資料はデザイン画になるのですか。
はい。このポーズで、キャラクターを作ってほしいというイラストですね。それを元に3Dのソフトでモデリングしています。
●一宮市 マスコットキャラクター いちみん
◆MODOはどういったところでご利用いただいているのでしょう。
主に固いモデルをポリゴンモデリングする際に使用しています。
◆固いモデルといいますと。
武器やメカですね。かっちりしたモデルを作るときにMODOを使っています。うちでは、モデリングにZBrushも使っていて、モデルによってZBrushとMODOを使い分けています。ボクセル形式でモデリングするときに 3D-Coat を使うこともあります。
MODO というソフトは造形に適しているという印象があります。特にメカのようなモデルは作りやすいと思います。建築物もMODOで作っています。
あと、CADのデータを扱う時にMODOのプラグインを使っています。
◆CADのデータを扱われるときもあるのですね。
はい。玩具メーカーさんからのお仕事の場合にはSTLフォーマットのポリゴンデータで納品するケースが多いのですが、うちではプラモデルのCADデータをお預かりするときもあって、そういう場合には MODOのプラグイン ( ※PowerTranslators ) を使って読み込んでいます。
あと読み込みだけではなく、CADデータで納品するときもあり、MODOのプラグイン ( ※Power SubD-NURBS ) を使ってSTEP形式で書き出しをしています。MODO のサブディビジョンサーフェイスを使ってモデリングした有機的な滑らかなモデルが、きれいに軽く変換できるのはいいですね。
CADデータが扱えるというのは重要です。
◆それでは、MODOへの要望をお聞かせいただけますか。
そうですね。パーツの分割の機能がもっと強くなるといいですね。ブーリアンを使うとどうしても余計なところに頂点が入ったりすることがあるので、もっときれいにパーツ分けができるといいと思います。3D Coatを使って、ボクセルに変換して分割することもできるんですが、データが重くなったり、エッジがだれてしまったりするので、ポリゴンでモデリングしたものはポリゴンの状態で分割したいのです。
あと、重いデータを扱うときのパフォーマンスが上がるといいですね。僕らのような造形の仕事では重たいデータを扱う時があるんですけど、読み込みに時間がかかったり、途中で落ちたりすることがたまにあるんです。その辺を強化してほしいです。
それと、MODOを学習できる環境がもっとあるといいなと思います。本やムービーは見てるんですけど、どうしても理解できないところがあったりするんです。たとえば、シューズを作るMODOのビデオがあるじゃないですか。あれ、なかなか難しいんですよ。自分で勉強しろよって話なんですけど、もっとMODOを学習できる場が身近にあるといいなと思います。
実はMODOのCADの変換機能も愛知のユーザさんに教えてもらったんですよ。愛知でもセミナーやトレーニングをもっと開催して欲しいですね。
●国営木曽三川公園 ツインアーチ138
◆これからMODOを使われるみなさんへ一言いただけますでしょうか。
僕らの仕事はアニメーションやレンダリングの機能を使わないほんとにモノづくりの仕事で、立体にした時の美しさを求めることに特化しています。
クライアントさんからのクオリティの要求は厳しいですが、僕らはその要望に応えて、その次は版元さんの要望に応えないといけない。そしてその先にはユーザさんがいてそこにも応えないといけない。
MODOはそういったいろんなモノづくりに対応できるソフトだと思います。
あっ、あとワンフェスは毎年出ていますので、会場にお越しの際には是非ブースへお立ち寄りください。
◆本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。
CGイラストレーター 八代 とものり氏インタビュー
2017年 03月10日
◆では初めに八代様のお仕事の内容を教えてください。
フリーランスでイラストをメインに3DCGを制作しています。またそれ以外にも既存のキャラクターを映像用に3Dに起こす仕事もしています。2016年からは名古屋造形大学の非常勤講師として、3DCGの授業も担当しています。
◆先生業もなさっているんですね?
はい。私の授業ではモデリングをメインにやっています。キャラクターや建物を作ったり、3DCGの基礎的なところを教えています。
◆元々は2Dのイラストを制作されていたんでしょうか?
そうです。当時はPainterを使っていたので、書籍も出されていた吉井宏さん のブログをよく拝見していて、そこで色々と3D作品を目にして自分も3Dをやってみたくなって、最初はZBrushから3Dの世界に入りました。2004年頃ですね。
◆ZBrushを使われていて、どの段階で3DCGに移行されたんですか?
2005年ぐらいですかね。ZBrush以外にもう少し表現の幅を広げたいというのがありまして、モデリングソフトを探していました。MODO以外にもHexagon(ヘキサゴン)などもあったんですが、使ってみて検討していくうちに、日本代理店があるMODOを選びました。やはりサポートなどが必要になってくるので。当時はまだMODO 10xでしたね。
◆MODOの中の機能をいろいろお使い頂いていると思いますが、主にどんな機能を便利に使っていらっしゃいますか?
現在、MODOとZBrushとを併用して使っているんですが、ZBrushでベースメッシュを作り軽量化したものを、MODOに読み込んでリトポロジ機能を使って面を貼りなおして最終的な形状にしています。リトポロジ機能が結構使いやすいです。
◆では一番最初の土台作りはZBrushで行われているんですね。
キャラクターモデルはそうですね。あと使う機能としては、キャラクターの表情を微調整するのに、メッシュスカルプトの機能を使っています。
◆なるほど。レンダリングまでMODOで行われるんですか?
そうですね。MODOでレンダリングしSurface IDなどを書き出してから、Photohopで色などの微調整を行います。
◆作品を拝見すると、キャラクターがすごく可愛らしいですよね。
ありがとうございます。制作中は可愛くなれと念じながら作っています。パズル誌などは競合誌も多いので、少しでも可愛くしたいなと思って。
◆とても温かくて柔らかい感じのキャラクターに仕上がっていますね。
キャラクターの肌などは、サブサーフェイススキャッタリング(SSS)を使って、温かい感じになるようにしています。SSSを使わないと、輪郭のところが影でくすんだ色合いになってしまうのが嫌なので。パズル誌のようなイラストの場合は、3D感バリバリというより2.5Dぐらいの柔らかいタッチに仕上げています。
◆キャラクターのポージングなどは、ポーズをとった状態でモデリングされているんですか?
キャラクターはTポーズの状態でモデリングしています。その後にスケルトンを入れてポーズを作りますが、2Dのラフイメージよりポーズが縮こまって見えてしまう時は、スケルトンは使わずマニピュレータで直接変形させてポーズを作っています。後から修正ができるようにモーフマップを併用して使ったりもします。
◆では全般的に、リトポ含めてモデリングした後、材質をつけて、レンダリングするという感じなんですね。
そうです。ベースメッシュ以外はMODOで作業して仕上げています。
◆他の3DCGソフトも使われているかと思うのですが、他と比較して良い点や要望等があれば教えてください。
良い点はリアルタイムプレビューですね。他のソフトにも実装されていますが、MODOの場合はプレビュー画面に直接触れて、カメラ操作ができるというのが直観的でいいなぁと思いますね。あとマテリアルのプリセットも高品質なものがそろっていますので、試行錯誤する手間が省けるのが良いです。
要望としては、たまにCADデータを扱うお仕事のお問い合わせも頂くので、IGESなどのCADデータを標準で読み込めると有り難いですね。重いデータでも軽快に扱えれるようになれば、ストレスなく作業できるなと感じます。他には各マテリアルのプレビューが見れると、何のマテリアルなのかが視覚的にわかりますよね。プリセットに保存するまででもないんだけれど、探すのがちょっと大変な時とかがあるので。
◆なるほど。将来的にはリグを組んだり、アニメーションをつけてみたいなど思われますか?
趣味の個人制作ですが、アニメーション作品も作っています。15秒のショートムービーですが、メイキング的な映像もあるんです。
VIDEO VIDEO
大学ではアニメーションコースなので、実製作でも短編アニメーションに取り組んでいきたいなと思っています。
◆楽しみにしています!
はい。できればCharacterBox(キャラクターボックス) みたいな機能が、あれほど高機能ではなく簡易版でも良いので実装されるといいですね。
◆では最後にこれからMODOを導入される方にメッセージなどはございますでしょうか?
MODOはまだまだ情報が少ないのですが、YoutubeにアップされているMODO JAPAN GROUPさんの動画 を見れば、無料ですぐに始めやすい環境なので、興味を持たれた方はぜひ体験版 に触れてみてほしいですね。
◆講師という立場から、これから3DCGを学んでいこうという方には何かございますか?
そうですね。3Dは覚えることがたくさんあるので、とりあえず自分のやりたいことを絞って、例えばそれがモデリングであればモデリングに絞って学習していくといいんじゃないかと思います。モーショングラフィックスだったらモーショングラフィックスを真っ先にやって、そこからモデリングだったり他のことへと広げていけばいいと思います。
◆本日はインタビューにお答えくださりありがとうございました。
株式会社 ミナロ 緑川賢司氏 髙尾寿彦氏インタビュー
2016年 12月12日
緑川賢司
みどりかわけんじ
株式会社 ミナロ 代表取締役
髙尾寿彦
たかおひさひこ
株式会社 ミナロ 工場長
はじめに 株式会社ミナロ 代表取締役 緑川様へミナロ様の事業についてお話を伺いました。
◆ミナロ様の事業についてご紹介ください。
弊社では木型(きがた)、モックアップ、モデル、検査治具の制作などお客様のニーズに合わせてさまざまなことをやっています。
他にもケミカルウッドや硬質ウレタンのオンライン販売も行っています。
あと、弊社を語るうえで欠かせないのが「JMRP(全日本製造業活性化計画)」と「コマ大戦」です。
「JMRP(全日本製造業活性化計画)」についてですが、メカニックデザイナー 大河原 邦男(おおかわら くにお)氏がデザインされた
オリジナルロボット「iXine(イグザイン)」を中小製造業の共有資産として活用し、管理している団体となっており、
そちらに代表として携わっております。
われわれガンダム世代からすると、そのメカデザインをされた大河原氏は神様のような方です。
大河原氏とは以前よりいろいろなご縁があり、大河原氏がメカデザインされたオリジナルロボットを作ろうという企画があって
進行していたのですが、一時期いろいろな理由でストップしかけたんです。
でも我々としてはどうしても完成させたいという思いがあって大河原氏にご承諾いただき「JMRP(全日本製造業活性化計画)」
として再始動し、今の形になりました。
いま海外にあってお見せできないのですが、高さ2m強といった大型の「iXine(イグザイン)」のモデルの制作もうちでやりました。
「コマ大戦」については全国の中小の製造企業が自社の作成したコマを持ち寄って戦う大会となっており、
そちらを運営している協会の会長をしています。
競技のルールですが、コマの大きさが直径20mm以下、全長60mm以下であれば、材質・重さ・形などに制限はありません。
製造企業が本気で設計し、いろいろな技術を注ぎ込んで作成しているので、いろいろなものが出てきますね。
コマを回すと羽が開いて変形するような仕掛けが施されているものもあります。
2012年に第一回全国大会が開催されたので、もうすぐ5年目ですね。2015年からは世界大会も開かれるような規模になりました。
グレード別の大会や予選大会は日々行われており、次回の全国大会は2017年4月に横浜での開催となります。
是非見に来てください。
ここからはMODOをご利用いただいている工場長の高尾様にお話を伺いました。
●具体的にミナロ様ではどのようなお仕事をされていらっしゃるのですか?
木型(きがた)やモデルの作成が主な仕事なのですが、その内容は多岐にわたります。
うちでやっている仕事のひとつにデザインモデルの試作品を作るというのがあります。デザイナーさんが自分でデザインした車のデザインの形を試作段階で確認したいという場合には、弊社で3Dのデータを預かって、それを弊社工場内の加工機で削り上げて納品するというような流れになっています。
あと実際に水槽に浮かべて使う実験用の船の模型も作っています。タンカーのように何百メートルも長さがあるような船を数メートルのモデルで作成したりもします。
ほかに工業製品の制作段階でその形が正しいかどうかを調べる検査治具も作っています。
●デザインもされるのですか?
色々なケースがありますね。デザイナーさんから自作のモデリングデータを頂く場合もありますし、手書きのスケッチだけ頂いてそれをこちらでモデリングするときもあります。
●メンバーの皆様ではどういった役割分担をされているのですか?
メンバーそれぞれの得意分野はあるのですが、ひとつの仕事の中で発生する全ての工程、つまりモデリング・切削・塗装・仕上げといった一連の作業を皆が出来るようにしています。
ただ、工業CADを使う工業製品はどのスタッフも出来るんですけど、キャラクターや有機物のようなモデルは工業CADではなかなかデザインができないのです。その場合ポリゴンで作るということになるんですが、私の他にポリゴンモデリングできるスタッフがいないのでそこは全て私が担当しています。
●それではMODOを利用されるきっかけを教えてください。
ポリゴンでのモデリングには今まではLightWaveとZBrushをメインに使っていたのですが、LightWaveの性能に不満に思う部分がありまして、その不満点を解消できるソフトがないか色々探していました。
そこで以前から名前だけは知っていたMODOを体験版で試したところ、LightWaveに比べていろいろ使いやすい印象を受けました。
仕事柄、モデリングがメインなので、レンダリングやアニメーションの機能はほとんど使いませんし、サーフェイスやディスプレースメントなど画面の中だけで凸凹を表現する機能も必要ないんです。実際にモデルが凸凹していないと意味が無いですからね。
そういう点でMODOのモデリング機能では神がかっているのではないかと感じました。
また、MODOはショートカットがLightWaveに近いところがあって、マニュアルを読まなくてもLightWaveのショートカットで同じように使える機能がたくさんありました。体験版をちょっとさわって今回のロボットのようなモデルがパパっとすぐに作れたので「これはいい!」と思い、会社に導入してもらいました。
●他の3DCGソフトウェアと比較していかがですか?
スカルプトにはZBrushを使っていて、それ以外のモデリングを行っていたLightWaveの代わりのような感じでMODOを使っているのでLightWaveとの比較になるんですけど、LightWaveは相対座標系が無いんですよね。たとえばパーツを作ってそれを傾けたらもう対称に操作ができないんです。
MODOは相対座標系のような機能があり、傾けてもそのままモデリングできるのがいいですね。
あとMeshFusionもいいですね。
お客さんからモデルデータを貰って、こちらで有機的な形にブーリアンで抜いたあとに、お客さんからモデルの変更指示がよくあるんです。他のソフトではブーリアンしてしまったらまたブーリアン前からやり直しになるので、ブーリアン前のパーツをずっととっておいてお客様からの要望に合わせてやり直さないといけないんですが、MODOのMeshFusionだとインタラクティブに元のモデルを直すだけでブーリアンが反映されるので修正がとても楽ですね。
基本的に一回作って終わりという仕事ではなくて、お客さんに確認してもらって、要望が返ってきて修正する、という流れの繰り返しなので、MeshFusionはとてもイイです。
●ポリゴンモデリングにはMODOの他にはLightWaveとZbrushをお使いとのことですが、CAD系のソフトは何を使われているのですか?
CAD系は、RhinocerosとSpace-Eを使っています。
Space-Eはあまり知られていないかもしれないですね。ポリゴンモデリングのソフトとCADソフトでは全然畑が違いますし。
●ポリゴンデータを切削のシステムに受け渡すときのデータフォーマットはなんですか?
STLですね。
最近STLが流行っていて、工業系のソフトでも結構STLでの入力が可能になっています。モデリングしたデータは最終的にSTLで吐き出して切削の機械にかけるという感じです。
●これから工業系のお仕事でも制作に3DCGソフトで行う人が増えていきそうでしょうか?
増えていくかもしれないですね、3Dプリンターが流行っていますし。世の中にSTLが増えてきた印象があって、それはやはり3Dプリンターの影響だと思います。
工業製品のデータがSTLで支給されることも増えてきて、いろいろな現場から工業製品のデータをSTLにしたいという要望が出てきています。
ポリゴンのデータはSTLでのやり取りが主流になっているのかなと思います。
●今後MODOに期待する機能、要望がありましたらお聞かせください。
先ほどLightWaveとの比較で話した相対座標についてなんですが、アイテムが持つ以外にどこかに保存しておいてあとで呼び出せるといいですね。
たとえば馬の頭をモデリングするとします。馬の顔の部分は馬全体の座標系で左右対称にモデリングして、馬の耳をモデリングするときには耳部分だけで左右対称にモデリングしたいんです。
耳を別に作っておいてあとからくっつけてもいいんですが、くっつけてしまった後でも、馬全体の座標や馬の耳の座標が手軽に選べて編集できるといいですね。
工業系のCADは座標系はパーフェクトに出来るので、そちらに慣れているとポリゴンソフトに移ったときにやりづらいなと感じます。作業平面の機能が近いんですが、もっと手軽にできるといいですね。
あとトランスフォームツールを起動すると表示されるツールハンドルの矢印が邪魔なときがあるので、表示/非表示を手軽に切り替えれるといいですね。何も考えずに粘土をこねるようなフリーモデリングのときには矢印があると作業に集中できなくて、すごく邪魔に感じます。
あれを消したいときは初期設定で変更しているんですが、もちろん矢印を使いたいときもありますし、初期設定まで行くのが面倒なのでもう少し簡単に矢印の表示/非表示を変更できたらよいなと思います。
●最後にMODOを導入される方に、一言アドバイスをお願いします。
色々なソフトを触って感じたのですが、モデルを作りたい、モデルを作ることに集中したいのに、そのソフトを覚えることに時間を割かなければならないというのが作り手側にはすごく負担なんです。でもMODOはそれがすごく少ないんです。
たとえば、同じような機能を持った2つのソフトがあるとして、「こちらのソフトではこうして、こうして、こうすればできる」みたいな裏技のような操作をしないといけないことがよくあるんです。そしてそのソフトを良く使っている、そのソフトを愛している人は「その手順がいいんだ」と言うんです。でもその手順はそのソフトでないと役に立たないし、作り手側としてはそんなことは覚えたくないんですよね。だから操作は単純なほどよくて癖も無いほうが良いんです。MODOはそういうところが単純化されていて合理的になっている気がするんです。
ただ純粋にモデリングして形がつくりたいという人にとってMODOは最適なソフトではないかと思います。
●緑川様、高尾様 本日はインタビューへのご協力ありがとうございました。
株式会社 意匠計画 海老澤 拓也氏インタビュー
2016年 12月05日
海老澤 拓也
えびさわ たくや
株式会社 意匠計画 マネージャー
◆意匠計画様のお仕事をご紹介ください。
当社のクライアントはデザイナーさんがメインのBtoBのビジネスになります。建築の内観・外観パースについて、デザイナーさんが設計されたものを、資料をいただいて完成予想図を描くのが主軸になっています。
デザイナーさんがどうしても資料を用意できないときなどは、写真資料を参考にしたデザインを提案するというところまで含めて行っております。また、VRやモーションモンタージュなどの新しい取り組みも始めています。
◆メンバーの皆様でどのように役割分担をされていますか?
当社には4~5人で編成されるCGの制作のチームが5つあり、そのほかにレタッチを行うPhotoshopチーム、手描きチームがあります。CG制作の1チームがMODOを使っています。
分業するかどうかという点で言うと、当社は1人の担当が1から10まで、つまり営業から制作まで行うという方針でして、1人が打ち合わせに行って、社内でマネージャーとスケジュールを組んで、後は自分で作業するという感じです。
後からショッピングモールのお洋服屋さんの商品を入れ込むようなレタッチを行う際は、そこで初めてレタッチチームと分業をして作業します。
基本は短い納期でコンパクトな物件が多いので、出来るだけデータを振り分けやすいようなワークフローにしています。
◆お一人で最後まで作業されているんですね。レンダリングはご自分のマシンでされるんですか?
はい。フィニッシュはV-Ray for MODO or MAXでレンダリングしています。
◆マシンは一人一台で作業されるんですか?
マシンはレタッチチームは一人1台、3DCGチームは一人2台でどれもWindowsです。当社はMacは2台ありますが基本的に皆Windowsですね。
◆レンダリング画像のレタッチはどうされていますか?
Photoshopで最終調整をしてます。光の調整や植栽をいれるだけというのは担当者が自分でやってしまいますが、商品入れであったり人がたくさん入る絵はレタッチチームにお願いします。
◆レンダリングの画像サイズは大きいものが多いのですか?
画像サイズは350dpiのA3サイズを想定して4500pixで行っています。当社は出力サービスもやっているんですが、たまにA2で出力するケースがあるんです。4500pixでレンダリングしておけばA2も耐えれるかなという感じです。
◆ではMODOを利用されるきっかけを教えていただけますか?
色々と試してみて、Shadeのレスポンスを保ったまま、よりパフォーマンスをあげられるソフトを探した結果がMODOでした。
いままでずっとShadeを使っていたのですが、Shadeはかなりレスポンスが良いソフトで、納期が短い案件にも対応できるということで、スピードとレスポンスが競合他社との差別化を図れた部分だったのですが、モデリングのパフォーマンス面で気になるところが出てきまして、Shadeのレスポンスを保ったまま、よりパフォーマンスをあげられるソフトを探し始めました。
それで、秋葉原でのV-Ray for MODO のプレビューイベントに参加させていただきました。
MODOを使えないのに参加したのですが、実際にMODOを使ってらっしゃる方のお話も聞いて、「これじゃないか!?」と思ってMODOのことを会社で話したらとりあえずやってみなよということになりました。MODOがスピードとクオリティを両立させたソフトなのではないだろうかと思ったんです。
比べてみて、3ds MAXはmental rayを使っていたのでその感じと違いは明らかに分かって、CINEMA 4Dとは悩んだんですけど、MODOはV-rayが出れば3ds MAXのV-rayとの差は無くなっていくんじゃないだろうかというところで、MODOにしました。
◆主にMODOのどういった機能を便利にお使いいただいていますか?
使ってみてかなりポリゴンモデリングがしやすいです。
MODOでいいなと思うところは、アクションセンター、フォールオフ、あとプロファイルも便利ですね。プロファイルで面材等を登録してやることで効率がだいぶ良くなっています。
◆MODOの他に利用されているソフトウェアはございますか?
Shade、3ds MAX、CINEMA 4D、Unityなどです。
ひとりで複数のソフトを使うのではなくて、MODOチームはMODOのみ、3ds MAXチームは3ds MAXのみという使い方です。
ソフト間のデータのやり取りは、主にOBJ形式でホワイトモデルにして受け渡ししています。完成形までいったものを別のソフトで出力することは無いんですけれども、たとえば家具など他のソフトで作った単品データをOBJ形式で書き出してインポートして使う感じです。
◆MODOをUnityなどのリアルタイムゲームエンジンのコンテンツ制作にお使いですか?
是非やってみたいのですがまだ試せていません。MODOチームとUnityチームは隣同士なので、そこの連携もこれからやっていければと考えています。
◆他の3DCGソフトウェアと比較してMODOはいかがですか?
モデリングがしやすいです。また、ビューポート・UIが見やすいです。他のチームからもビューポートが綺麗ってよく言われます。それはモデリングをする上でのモチベーションになりますし、あとシェーダーツリーがレイヤー構造になっていてON/OFFの切り替えがしやすいのはすごく使い勝手が良くて効率的だと思います。
◆今後MODOに期待する機能、要望がありましたらお聞かせください。
3つあります。
1つめはバッチレンダーです。レンダーパスというのを半年前くらいに気づきまして、レンダーパスでひとつのシーンで複数のカメラをレンダリングできるのを知ってそれは本当に助かったんですけど、複数のシーンを自動で開いてレンダリングする機能があると良いなと思ってます。
2つめはレンダー出力で、オブジェクトIDがほしいです。いまはレタッチのためにサーフェイスIDとトランスペアレントアマウントとシェーディングノーマルとジオメトリックノーマルを使っているんですが、たとえば椅子だったら椅子で一色になってレタッチのときマスクに使いやすいようなものがあると良いです。
最後は、寸法ツールが便利でよく使うのですが、その数値のフォントの大きさがメッシュとかぶると見づらくて寄ってもフォントサイズが変わらないので、何か変更設定が出来ればよいなと思います。定規ツールも同じです。
◆これからMODOを導入される方に、一言アドバイスをお願いします。
建築の畑しか知らないんですけど、レスポンスを常に求められる業界にはMODOはおすすめです。
さっき言ったことと重複するんですけど、作り終わった後にやっぱり天井を変えるとか、ここだけ無くすとか、そういう修正は日常茶飯事にあることなんですが、MODOは面を消してまた張ったり、ベベルしてやり直してというのがすごくやりやすくて修正対応が早いソフトなので、納期が短い業界にいる方におすすめです。
毎日が納期という人には「MODOでしょ!」みたいなところがありますね。
◆本日はインタビューにお答えくださりありがとうございました。
五藤 彰氏 インタビュー
2016年 06月30日
五藤 彰
ごとう あきら
京都市立芸術大学卒業。大学ではコマ撮りアニメーション等様々な表現を試みる。その後、白組ヒューマンスタジオでCGを学び現在は都内のCGプロダクション(株式会社D.A.G)
経歴を教えていただけますでしょうか。
京都市立芸術大学を卒業しまして、その後に東京に出てきました。東京では白組ヒューマンスタジオというところでCGの勉強をさらに深くさせていただき、それから今の会社D.A.Gに落ち着いたという感じになります。
大学ではどういったことを学んでおられたのですか。
大学ではアニメーション全般を学んでいました。コマ撮りの人形アニメーションをやったり、手書きのアニメーションをやったり幅広かったですね。私自身「ロード・オブ・ザ・リング」という映画が好きで、見ている間は没頭出来て別の世界に連れて行ってくれるようなそんな映画を作りたいと思っており、CGを使えばそういう世界を自分で創造できるのではないかと3DCGも学んでいました。
大学で使われていた3DCGのソフトを教えて下さい。
当時は Maya 2013 と XSI を使っていました。
大学を卒業されたあと、すぐ上京されて白組ヒューマンスタジオに入られたのですか。
そうですね。最初の3ヶ月はチュートリアルといいますか、課題のようなものがあり、そのあとインターンとして白組のかたと一緒に仕事をしながら学ぶという感じでした。白組ヒューマンスタジオには一年在籍し、今はD.A.Gに所属しています。
今の会社では具体的にどういうお仕事をしていらっしゃるのですか。
一言でいうとジェネラリストですね。モデリングからアニメーション、レンダリングといったいろんなことをさせてもらっています。仕事では、Max, Maya, MotionBuilder, MudBoxあとはPhotoshop, After Effectsを使って制作をしています。仕事の内容はプリレンダーのアニメーションが多くて、中でも遊技機やゲームのアニメーションが一番多いですね。今やっていることは大学時代から積み上げてきた様々な映像や、技術の知識がベースになっています。
MODOを使われるきっかけを教えていただけますか。
白組ヒューマンスタジオにいたころにお世話になっていたかたが「MODOは凄く良い!」ということをおっしゃっていて、ずっと興味を持っていたんです。それでその後自宅でCGを始めようという時にMODOを選択しました。当時は、MODO 801だったと思います。PIXERやWetaの「アバター」の制作でも使われたという点も、魅力的に感じましたね。映画が好きなので。
それと会社でやっていること以外のCGを知りたかったというのもあります。多くのソフトウェアに触れると自信がつく気がするので。あとホームページのチュートリアルや、トレーニングキットも充実していて、特にホームページのチュートリアルは分かりやすかったので、独学でも習得できそうな気がしました。最初はビューポートのトラックボール回転に戸惑いましたが慣れるととても使いやすく、感覚的に作業できる点が私の制作スタイルにとてもあっていると感じました。また、レンダリングビューも結果がすぐに確認できますし、サンプルのマテリアルも充実していて初めてでも楽しく覚えることができたのも、作業を続けられた理由だと思います。アニメーションではポーズツールも便利でしたね。
五藤 彰氏 最新作 「TRY-MEN 4」
VIDEO
それでは自主制作活動について教えてください。自主制作をしようと思ったきっかけを教えていただけますか。
きっかけは大きく3つあるんですけど、まず一つ目は、自分の感性の確認です。大学の時は、映画を見たときのような未知の世界を経験する感動を自分でも作りたい!という思いで、自分の好きな世界をひたすら追及する感じでした。社会に出てからは、映像表現について学ぶことは本当に多く、自分一人では知らなかった技術等をたくさん知ることができたり、仕事で長くCGに接してスキルアップできる反面、あまりの情報量の多さに自分の本当に好きなことを忘れてしまいそうな怖さもありました。なので自分の好きなことを忘れないためにきちんと作品や言葉にして自分の感覚を確認しておこうと思い、自主制作を始めました。「TRY-MEN」はそういった部分が大きいですね。
もう一つは自分のスキルアップの手段としてです。会社ではジェネラリストとして働いていて、一つの作業が終わると全く別の作業をすることも多いので、ついつい学んだことを忘れてしまったりするんです。なので会社で学んだことを忘れないよう反復練習をかねて、自分の作品に作りにも技術を活かそうと思いました。
三つ目のきっかけですが作品のテーマを伝えたいというのがありました。「TRY-MEN」は観客を鑑賞中に別の世界へつれていけるような作品を目指したエンターテイメント作品ですが「強く生きること」というテーマがあります。僕は普段からあまり主張するタイプの人間ではなく、人に迷惑をかけることを恐れてしまうので、周りの目を気にせず、ひたすら自分のやりたいことに没頭するスタイルに憧れがあるんです。「TRY-MEN」というキャラクターを通して、僕の考える「強く生きること」というのを表現したかったのです。
「TRY-MEN」シリーズは今「TRY-MEN 4」までお作りになられていますが、今後の展開などはお考えなのですか。
そうですね。5、6の構想はちょっと考えています。「TRY-MEN」は15人のチームで構成されていて今7人まで出演しているので、他のメンバーも出るまで続けようと思っています。でもちょっと別のことをやろうかなとも考えていて、もっと映像表現を深くするためにアニメーションを重点的にやっていこうかと思っています。アニメーションというのは演出的な要素がかなり強いので、アニメーションやカメラワークをやっているとなぜカッコよく見えたのかといったことが分かるんです。今はジェネラリストとしてやっていますが、将来CGデザイナーとして武器になるようなアニメーションにも注力しようと思っています。
「TRY-MEN 4」はすべてMODOを使って制作されたんですよね。
そうですね。モデリングだけではなくてアニメーションやエフェクトもMODOでやっていますね。やれる要素があるとやろうと思っちゃうんですよね。やらないと気が済まないんです。
自主制作されていらっしゃる上で苦労していらっしゃるところはございますか。
制作時間の確保が大変でしたね。平日は2時間作業して、休日は8時間作業するという風にやっていました。電車での移動中にチュートリアルを見たり、アイデアを出したり、作曲をしたり。あとマシンが自宅の一台だけなのでレンダリングが大変でしたね。会社に行く前にレンダリングを投げるようにしていました。「TRY-MEN 4」はモデリングを始めたときからかぞえると2年かかりました。
MODOに期待する機能、要望などあればお聞かせください。
私は一人でやっているので、もしかしたらすでにある機能なのかもしれないですが、ウエイトの情報だけを保存できるといいなと思います。例えばスケルトンを追加したり、階層を足して、スキンをかけ直すときにもう一回ウエイトを割り振り直すのですが、そういうのを一括でできる機能が欲しいです。Maxは名前さえあっていればできるんですよ。MaxにあってMODOに無い機能は欲しいと思います。Maxの様なスケマティックビューや、Mayaのようなバッチレンダーも欲しいですね。あとスカルプトやアニメーションについても機能が向上するといいですね。
最後に、いまから3DCGを始められる方、MODOを使われる方に一言アドバイスをいただけますでしょうか。
会社でMaxやMayaを使用されている方は多いと思うのですが、そういった環境だからこそMODOのような違うソフトを使ってみるのがいいのではないかと思います。ソフトが違っても基本は変わらないので、普段と違った操作のソフトを触るとリフレッシュできると思いますし、モーフやスキンなどのデータの持ち方もMODOは特殊な気がするので、CGに対しての理解が広がるり、考え方がやわらかくなる感じがします。あとMODOはとても感覚的に作業できるので一人での制作にも向いていると思います。モデリングからすぐにスカルプトに移れたり、レンダリング結果を確認しながらマテリアル調整したり、気の向くままに作業できるのはとても楽しいです。
今日はどうもありがとうございました。次回作を楽しみにしております。
古川 祐司氏 インタビュー
2015年 10月09日
古川 祐司
ふるかわ ゆうじ
1968年生まれ。東京都在住。日本歯科大学歯科技工専門学校歯科技工士科を卒業後、歯科医院、歯科技工所勤務を経て、現在は歯科メーカー勤務。マイコン時代からコンピュータいじりが趣味。初代機は「FUJITSU MICRO 8」。現在は自作Windows機を、趣味のCGや、積みゲー課金に愛用。
今回は「DMM.make×週アス『カオスだもんね!』3D化コンテスト最優秀賞」受賞、おめでとうございます!
ありがとうございます。
ではさっそくですが、古川様のご経歴を教えていただけますでしょうか?
本職は歯科関係の仕事をしています。以前は歯科技工士を務めていたのですが、現在は歯科メーカーの方に転職しまして、ホームページやカタログを作っています。カタログなどに載せる写真や画像など、社内で用意しているんですが、足りない部分などはMODOで画像を作ったりしています。手早く簡単にキレイな画像を作れますので、Office系ソフトや、Adobe系ソフトを使っている延長線上で、MODOを気軽に使っています。
本業では画像の素材作りといったところで活用なさってるんですね
そうですね。あとは展示会の自社ブースイメージ制作とか。最終的には実際に業者さんにお願いするんですが、イメージ図は全部MODOを使って作っています。
以前からCG関係の勉強などをされていたんでしょうか?
学校では全く触れていなくて、初めて買ったCGソフトが、まだレンダリングに制限があった頃のShade Personalです。ロボットのCGが作りたくて購入しました。知り合いのグラフィックデザイナーの方に「Shadeを買ったんですよ」と言って、初めて作ったロボットの画像を見せたら、お仕事を依頼していただけたんです。そこで作ったのがキネマトコミックスの挿絵とCD-ROMに収録されているムービーです。
これはいつぐらいのお仕事ですか?
1998年頃ですね。Shadeでもテライユキなどの作品が出されていたので可能なんでしょうが、自分にとってはShadeで洋服や髪の毛を作るのが難しくて、苦労しながら完成させました。その後、世の中にはポリゴンというのがあると聞いて(笑)、LightWave [8]を買いました。
当時、美少女ものCGが流行っていましたが、自分はメカのほうが好きだったため、結局LightWave [8]でも、オリジナルのロボットばかり作っていました。アスキーさんの月刊誌「MACPOWER」でロボット開発者へのインタビューの連載記事があり、ロボットCGの挿絵が書けるイラストレーターを探しているとのことで、知り合いの編集者の方から紹介を受けて、担当させていただきました。
挿絵のロボットを作られてたんですね。デザインはお任せですか?
そうです。回によってクラゲ型ロボットの記事だと聞けば、水中用ロボットを作ったり、というのを続けていました。その後、いろいろな雑誌でイラストを担当したのですが、副業として夜遅くまで作り続ける生活を続けていると、だんだんCG作るのが嫌になってしまいまして(笑)。それでボードゲームやカードゲームといった趣味に変わったんです。
それがまたCGに戻られたのは?
かなり長い間、CGから離れていたんですが、ドイツのカードゲーム「ボーナンザ」のファンアート版のイラスト募集記事を見つけて、久しぶりにLightWaveでCGを作って応募し採用されました。それを見た国内メーカーさんからカードゲームイラストのお声をかけていただき、イラストを担当したりするうちに、CG製作ってやっぱり楽しいなあと、改めて思うようになりました。
当時はまだLightWaveを触られていたんですね。
はい。LightWave [8]をそのまま使っていましたが、長い間CGを触っていなかったので、機能が進化しているかもと思って、情報を集めました。最終的にLightWaveをアップグレードするか他のソフトを買うか悩み、結局MODO 601を買いました。最初は使い方がよくわからなかったので、MODO JAPAN GROUPで行っていた初級トレーニングを受けて、やっと使えるようになりました。
そこでMODOを選択された理由やきっかけというのは何だったんでしょうか?
何となくオシャレっぽいなぁと思ったのと(笑)、レイアウトとモデラーが分かれていない一体型を使ってみたいなと。また、モデラーとしてすごく出来が良いという評判もありMODOに決めました。それと、MODOはLightWaveの初期開発者が手掛けていると聞き、それなら自分にもわかりやすいんじゃないかなと。
では実際にMODOをお使いになられて、気に入っている機能などがあれば教えてください。
プレビュー画面が非常に速くて最終イメージとほぼ同じ状態で確認できるじゃないですか。レンダリングしてガッカリといったところがないため、こまめにチェックしながら絵作りができるところが助かります。それとMODO 901で搭載されたエッジの複数スライスのオプションが良いですね。今までなんでなかったんだろうと思うぐらい、あの機能は便利ですよね。そして、イチオシ機能はMeshFusionですね。今回ボルナッスを作っていて、3Dプリンタ用のデータを作るのも初めてだったものですから、よくわかってなくて、3DCGができれば普通のCGデータですぐにできると思ってたんですよね。ところが3Dプリンタ用のチェックソフト(netFabb)をかけてみるとエラーが万単位で出てきて…。そこで、MODO JAPAN GROUPのブログの記事(※1)を思い出して、MeshFusionならどうかなと思って試してみたところ、これはいいなと。サブディビジョンデータのままブーリアン可能で、密閉メッシュがエラーなしで出力できるのはすごいなと。MeshFusion同士もツリーでつなげられるじゃないですか。あの機能もめちゃくちゃ便利です。
※ 1. レポート:MeshFusionモデルを3Dプリント! | MODO JAPAN GROUP 公式ブログ
今回のコンテストに応募されたきっかけを教えていただけますでしょうか?
応募したきっかけは、やはり『カオスだもんね!』のファンだったからです。親子でファンで、毎週楽しく読んでいたのが一番ですね。副賞に直筆サインが頂けるのも魅力的でした。あと、今まで突き詰めてCGを作ったことがなかったので、本当に一生懸命やってみたらどれくらいできるのかなというのもあり応募してみました。ちょうど「カレイドスター」っていうアニメを見て、モチベーションがすごく上がったので、頑張って作ってみようかなと思って(笑)。
今回のコンテストではロボットの画像から3Dデータを起こすということだったんですが、どういった点が苦労されましたか?
DMMさんの資料の中に三面図はあったので下絵としてMODOのBackDropアイテムとして配置して作っていきました。ただ、最終的にはバランスとかは全然違う形にとりなおしました。自分のオリジナルで思ったように作った方が受けるかなと思って。全然違うんだけど、これはこれでありかな、と思わせるデザインで作っていけば、他の応募者の方はそんなこと考えないと思うので、うまく行けば選ばれるかなと。ですので、苦労した点というと、どのくらいいじってテイストを変えても許されるのか、といった点で迷ったところでしょうか。
では形自体は早めにできて、アレンジに時間を使われたんですね。
実は締切直前までモデリングを行っていて、そんな余裕はありませんでした。直前に初めてSTLデータのチェックを行ったらエラーの嵐…。こりゃあかんと思いましたが、泣く泣くそのまま提出しました。ところが、応募期間が一か月延びまして、MeshFusionで作り直す作業に入ったら、これがすごく使いやすい。パーツ間のバランス調整がとても楽にできるため、納得できるまでアレンジ作業に没頭できました。なのでMeshFusionを触って、これでもしかして優勝できるかもと思いました(笑)。2度目のデータ提出の際に、参考画像としてレンダリング画像を添付しましたが、CADソフトみたいにフィレットもつくため、フィレットの部分にハイライトが入るので、絵作りとしてもmeshfusionって、有効だなあと思いました。
©水口幸広・スタジオほがらか/KADOKAWA アスキー・メディアワークス
3D出力を今から始められる方もいると思うんですが、どのようなデータにしないといけないといったコツのようなものがあれば教えていただけますか?
完全に密閉された閉じた形状でなければいけない等、レンダリング用の3Dデータとは作法が大きく異なる部分がありますので、STLのビューワソフト(MiniMagicsやnetFabb等)で、早めのエラーチェックをおすすめします。netFabb等のソフトでは、エラーの修正も可能ですが、修正できないエラーもあります。エラーチェックから学べることも多いので、まずはチェックをおこなってみてください。
また出力したい材料や業者さんによって規定がかなり違ってきます。薄さは何ミリ以下はダメとか、形状によって中にサポートが入ってしまうとか、サポートを抜くための穴が何センチ以上じゃないとサポートが残ってしまうとか。当たり前のことではありますが、まずはそこを確認してから作り始めたほうが良いと思います。
応募された時はバラバラのパーツで出されたんですか?
応募した時点では手や足にダボを付けて提出したら、全てくっつけて出してくださいって言われたんです。他のソフトだとポリゴンをつなげなおさないといけなくなるので難しいと思うんですが、MeshFusionだとダボの部分を抜いて、ツリーをつなぎなおすだけで済んだので、修正もすぐにすみました。そういう意味でもデータや素材などの出力によって、パーツのつながり具合も自由に変えられるので、MeshFusionだと作りやすいと思います。
©水口幸広・スタジオほがらか/KADOKAWA アスキー・メディアワークス
MODOに対する要望などがあれば、お聞かせください。
MeshFusionで右腕を作った後に、左腕をミラーリングで作りたかったんですけど、そのやり方がわからなくて。もしその機能がないのであれば、MeshFusionされている状態そのままで、ミラーリングが行える機能がほしいです。
あと、やはりすごくMeshFuionを好きになってしまったので、ぜひMeshFusionをいっぱい宣伝してほしいです!
では最後にMODOを始められる方などにアドバイスなどがあればお願いいたします。
まずMODOでしたら、初級トレーニング(※現在不定期開催)を受講されることをお勧めいたします。そこで基本を学んでから、Sports Shoeなどのチュートリアルのビデオをやってみるといいと思います。Sports Shoeでモデリング
をある程度理解した上で、MeshFusionを触ってみると、いろんなものが作れるんじゃないでしょうか。
あと、今回初めてコンテストに応募してみて感じましたが、応募作品を全力で作るとスキルアップにつながるので超おすすめです。DMMさんが定期的にコンテストを開催されているようなので、そういうのに目標を定めて作品を作ってみるといいかなと思います。
本日はありがとうございました。
岩井 知久氏 インタビュー
2015年 05月20日
CGツールとの出会いを教えていただけますか。
CGとの出会いですが、初めて出会った3DCGのソフトがShadeです。Shadeは1年ぐらい使っていたのですが、いろいろ調べてその次にLightWaveを購入しました。バージョンは6.0になったばかりのころですね。
CGは仕事にしたいぐらいの魅力を感じていたのですが、出会ったのが27才ぐらいのときで業界的、年齢的にちょっと微妙でした。あと、やるのであれば一線で働きたいというのがあったのですが、そのころの中部圏にはCGの仕事そのものが少なかったのです。東京が圧倒的に多くて。本当に人生かけられるかと言われるとそこまでではなかった、というのが正直なところです。ただ CG そのものはすごく面白かったので、チャンスがあれば仕事にしようと思いつつ趣味でとどめておこう、というふうに考えました。自分の中で、それに一番近い世界がWEBの世界でしたので仕事にWEBを選んだのです。でも根底にはCGが好きっていうのがありましたね。いまだから言える話ですがWEBのことをやりながらもやっぱりCGをやりたい、CGを続けたいというのがあったと思います。
LightWave は、ずっと使われていたのですか。
LightWaveのVersionが7ぐらいのときにMODOが出てきて、そこでMODOに乗り換えました。
LightWaveを始めた頃は、今のようにネットでSNSが活発な時代ではなくて、使い方の質問をするとしたら掲示板のようなところに書き込むのですが答えが返ってくるかどうかわからないような状況でした。
その頃ちょうどMODOが出てきたんです。MODOとの出会いですね。MODOは最初からインターフェイスなどのデザイン(見た目)がすごく良くて、なんて格好いいCGソフトなんだろうと思いました。でも、そのころの MODO はまだモデリングしかできなかったんです。総合系のソフトとして出来上がっていたLightWaveからモデリングだけのMODOに乗り換えるのはどうなのかなとは思ったのですが、自分がそれほどCGに時間をかけられないという状況があったので、モデリングの機能から始めてMODOのバージョンアップに合わせて自分もちょっとずついろんな機能を覚えていけるんじゃないかと思ったんですね。しばらくLightWaveとMODOを並行して使った後、MODOにしぼりました。
実際にMODOを使われてどうでしたか。
使いやすかったですね。LightWaveのここがこうなればいいのに、というところを全部実現したような感じでした。
LightWaveで直感的と言いながら使いにくい部分がきれいに整理されており、プラグインに依存していた機能が最初からちゃんと入っていました。LightWaveを使っていた人には修正版のような感覚だったかもしれません。最初のバージョンは特にそうですけれども、直観的にすんなり入れましたね。これをやりたかったらこのツールだよね、っていうのが考えたとおりの場所にあって、ちょっとしたショートカットを覚えればやりたいことがすぐにできるという素直さがありました。
あと Luxology 時代からのすばらしさなのですが、最初のバージョンのときはマニュアルが充実していました。そして20xのバージョンになってからは完成度が高いチュートリアルのビデオが何本も出てきたのです。当時は英語版のビデオしかなかった時代ですが、チュートリアルの英語程度でしたら全然問題無かったです。そして、そのチュートリアルを見ると、すばらしくきちんといろんな機能を使いながら、かっこいいものを作っていくという内容になっていたんです。チュートリアルを2本、3本見れば、基本的なところは誰でもすぐに習得できる感じでした。MODOのバージョンが上がるたびにいろんなチュートリアルが出てくるので、「これがやりたいけど何処にツールがあるんだろう」と右往左往せず、きちんとビデオを見ればちゃんと解決する。CGソフトってツールがすごく多いので学習に時間がかかるんです。学習コストは見過ごされがちなところなんですけど、そこはちゃんと見ておかないといけないと思うんです。MODOではそれがちゃんと考えられていて、学習ツールでちゃんと使えるようになる。サポートまで考えて教材をちゃんと作り込んでいる。メーカーがソフトウェアの作り込みだけなく、教本や教材を出しているというのは素晴らしいですね。
あと、作品を作るときって人によっていろんなやり方があって正解は無いと思うんです。でも最初は一つの道筋を示して欲しいんです。例えば靴を作るんだったら、一つの手本としてこういう作り方がありますよ、というのが欲しい。そこを基準に自分はココをこうしようという風に考えられます。MODOは教本、チュートリアルでそういう基準を示してくれているので本当にありがたいですね。
それではダンボールアートを始められたきっかけを教えていただけますか。
これは本当に偶然の産物なんです。ある日とあるサイトで「ダンボールでアイアンマンを作ったよ」っていう海外の人が紹介されている記事を見つけました。2013年の3月か4月ぐらいですね。大抵の人は、「いいね」や「RT」、「シェア」をして「これすごいね」で終わりだと思うんですけど、私はなぜかそのとき作りたいって思ったんです。ダンボールだったら設計図さえあれば自分でも作れるだろうと。それでいろいろ探した結果、その顔の部分だけ設計図が公開されていることが分かって、たまたまそれを作ったのが日本人のかたで。図面のPDFがダウンロードできるようになっていたので、それをダウンロードして、型紙を印刷して、東急ハンズで板のダンボールを買ってきて、型紙を当ててカッターで切って、組み立ててみました。それがすごく面白くて。作るときも面白かったですし、友達に見せたときも大ウケで。それで、その時に「あっ!」と思ったんです。CGって見る人の目が肥えてしまっているので、本当に相当すごいものを見せないことには「ふーん」くらいの薄い反応しか得られないんですね。ちょっとした静止画を作るだけでも本当は結構大変だったりするのに。それがダンボールで作った物を見せると今までにないようなものすごい反響があったんです。これはおもしろいなと思って。その時はダウンロードした設計図を切っただけなので自分の作品という意識はなかったのですが、たまたまネットでその設計図を作った人とやりとりすることになって「どうやって作ったんですか」って聞いたら元のデータはLightWaveで作ってますというお話しだったんです。LightWaveで形を作って、そのあとペパクラデザイナーという展開図を作るソフトで変換をしている、というのを聞いたのです。それで「LightWaveでデザインできるんだったら俺にもできる。MODOでもできるな。」ということが分かって、それからオリジナルの作品を作り始めました。そこから先は作るたびにみんながすごく反応してくれるので、おもしろかったですね。他にそういうことをやっている人もいなかったので。しかも、ずっとやってきたCGの技術を活かせていろいろマッチしましたね。3Dソフトも使える。反響もあっておもしろい。誰も他にやっていなくてブログの記事にもなる。そういったことがいろいろあってダンボールアートにハマっていきました。なのでダンボールアートの活動そのものは始めてからそんなに経っていないのです。
作品を制作されるときにはまず3Dでモデルを作られるのですね。
そこが面白さの一つなのですが、3Dの作品を作るときって、いわゆるローポリって言われるものでもそこそこポリゴン数があったり、レンダリングまで考えて質感の設定をしたりして結構時間がかかるじゃないですか。でもダンボールアートの場合はできるだけローポリゴンで作りさえすれば、レンダリングの時の質感を考えなくてもいいんです。モデルのワイヤーのデータさえ出来れば、ペパクラデザイナーにデータを渡して設計図にすればいい。3Dを使うアートの中では、わりと早く作品を作れるというところも魅力の一つだと思います。
ダンボールアートの作品を作るにあたり、MODOのモデリング機能はどうですか。
MODOは、はじめにモデリングのソフトとして出てきて、その評価って今でもかなり高いじゃないですか。MODOはモデリングが素晴らしいって。ですので、そこはペーパークラフト、ダンボールアートの設計図を作るときも生かされています。素早く直感的な操作で形が作れるというのはMODOの利点だと思います。
モデリングをするときには面の大きさをあまり細かくしたくないので四角ポリゴンを多用するんですけど、3Dソフトだと平らではない四角ポリゴンが作成出来るじゃないですか。でも実際にそれを設計図にしてしまうと組み立てるときに破綻してしまい、ダンボールをひねらないといけない。多少ひねるのは仕方がないのですが、できるだけそういうことにならないように配慮して作らないといけないのです。そういう時にMODOですごくいいなと思うのは、選択したポリゴンに作業平面を合わせる機能です。作業平面の位置をポリゴンに合わせれば、平面上に無い頂点を簡単に平面に合わせることができます。斜めのところに何か部品を取り付けたいような場合にも、斜めの部分に作業平面を合わせてモデリングができます。あとスライドの機能でエッジをスライドさせるといった、ちょっと治したい、わがままに治したいということができるので、その辺はほんとに気が利いている感じがします。ソフトの方でいろんな破綻を治せるというのは強いと思います。
あと現物ができる前、クライアントに大体こういう形になりますよというプロトタイプをお見せするときに簡単にレンダリングして渡せるというのもありがたいですね。レンダリングの品質がすごくいいでのクライアントに見せる時の見栄えがいい。簡単に色つけただけででも、CGソフトをあまり知らない人に見せると「すごい造り込みですね。」って言われたりします。
テクスチャーはどのようにされているのですか。
基本的にテクスチャーはあまり作らないのですが、人の頭の形をしたペーパーヘッドの作品を作るときにテクスチャーを描きました。そのとき作ったペーパーヘッドは、実在する本人の顔にする必要があり、後で手描きというわけにはいかなかったので、3DのモデルをUV展開してPhotoshopでテクスチャーを作って、厚紙に印刷しました。
ディズニーのプレーンズを作ったときは、ボディなど大きな部分はラッカースプレーで塗装し、細かい部分はシールを貼りましたね。目の部分やエンブレムはベクター系のソフトで形を作ったり、Photoshopでレタッチをして、シール用紙に印刷してダンボールに貼りました。その辺はもう普通のCGと変わらないですね。
アナログの作業とデジタルな作業の割合はどのようになっていますか。
作る作品によって変わってくるのですが、アナログが6に対してデジタルが4ぐらいの比率ぐらいですね。デジタルがちょっと少なめかと思います。
デジタルな部分の工程ですが、まずいろいろ資料を集めたりスケッチをしたりして、MODOでモデリングをします。モデルが固まったら、ペパクラデザイナーで展開図にします。展開図にしたときに破綻している部分があったらMODOでモデルを修正します。そんなに何回もはないんですけどMODOとペパクラデザイナーを行き来して完全にモデルが固まったら、ペパクラデザイナーで作った展開図をEPSデータで書き出します。最後に CorelDRAW や Affinity Designer でEPSデータを編集します。EPSデータの編集ではレーザーカッターでの出力を考慮して線の太さや色を変えたりします。それとペパクラデザイナーで書き出したEPSのデータは線が二重になっていたりしてそのままではレーザーカッターへの出力に使えないので、そういったところも修正します。そのあと修正したEPSデータを工房に持って行き、レーザーカッターでダンボールをカットします。レーザーカッターへの出力は普通のプリンターと同じような感じです。CorelDRAW で印刷のメニューを選ぶと使えるプリンターの中にレーザーカッターが出てくるんです。そこでレーザーカッターを選ぶと普通のプリンターのときのように用紙の大きさなどが設定できます。レーザーカッター専用の設定は大して多くなく、実行するとレーザーカッターがダンボールを指定通りに切ってくれます。
全体の工程のなかで一番大変なのはどこですか。
基本全部楽しいのですが、作った物の良否を決めてしまうという部分ではMODOのモデリングのところですね。そこの出来が悪いと後工程でそのまま形になってしまうので一番重要です。最終的な出来上がりを考えてモデリングをするには、実際に組み立てる経験が必要ですね。
岩井様が代表をされている C3D(シースリーディー)について教えてください。
C3D(シースリーディー)は、「Chubu 3D(中部3D)」の略で、主に中部圏在住の3DCGに興味のある人達の集まりです。八代さんというMODOを使っているイラストレーターの人とお会いして、ソフトの使い方などを話したりしていたのがきっかけです。自分だけだとなかなか習得がままならないようなことも人に教えてもらったら簡単に解決したりするようなことが結構あったので、だったら似たようなソフトを使っている人と直接会って話がしたい、中部圏でそういった集まりを作ろうと思ったんです。最初は二、三人の方とたまに会ってお話をするくらいの集まりでしたが、だんだん仲間が増えていきました。
C3Dを通して出会われた方が仕事で協業されたりいう話もありますので、そういう場として使われるのもいいなと思っています。C3Dは、あくまで趣味のものとして、面白いものとして続けていこうよ、というのが軸にはあるんですけど私自身クリエイティブな方に軸に置くようになったので、もう少し活動の範囲を広げてセミナーみたいなことをやってみてもいいのかなとか思っています。以前Unityの勉強会を東京でやっていらっしゃる方から名古屋でのUnity勉強会の開催についてご相談いただいたことがあり、ゲスト講師としてC3Dにお呼びしたこともあります。C3Dの外から頼って来てくださるのも嬉しいですね。
C3Dを始めた当時、世間での3Dの位置付けはプロが仕事で使うものであったり、一部の人が趣味で使うものという感じでしたが、最近では3Dプリンターやプロジェクションマッピングのおかげで一般にも認知されてきたように思います。プロジェクションマッピングについてはまだ海外でしか事例がなかったころにC3Dのメンバーと「なんだ、これは!」という話をしていたのですが最近ではあたりまえのものになりましたね。他にもWEBやARで使うローポリゴンのモデルを作るために3Dが使われたりして3D自体の応用範囲が広がってきているので、初心者の人向けにセミナーみたいなものをやってもいいかなと思っています。
MODOの次のバージョンに対する要望はございますか。
ダンボールアートとは直接関係ないのですけど、CGと実写の合成や煙、爆発などダイナミクスの表現に元々興味があって、ダイナミクスの表現が実写と簡単に合成出来たらと思っています。
そういった機能が標準的に使うことができたり、プラグインやキットのようなもので連携が良くなるとうれしいですね。
いまちょっと考えているのは面がはっきりした簡単なモデルを作ってそこにカメラマッチングで実写合成し、ダンボールから物がでてくるようなものをやってみたいなと思っています。
そういえば以前機会があってNUKEのトレーニングに参加したことがあるんですけど、完全にプロ向けのツールで敷居高くて難しかったです。
いまどこまでNUKEとMODOが連携しているのかよくわからないのですが、うまく連携するとすごくやりやすいのかもしれないですね。
これからMODOを始められる方へアドバイスをお願いします。
今のCG業界にはソフトウェアを選択出来ない分野があると思うんです。たとえばゲーム業界、アニメーション業界だとMaya、Maxを必ず使うので、まずはそれを覚えないといけない。でも私が知っているCGアニメーションの会社の方の話なのですが、核の部分はパイプラインが出来てしまっていてなかなか動かせないけれど、モデリングのところはパイプラインから独立できるのでMODOを導入している、ということをおっしゃっていました。比較的小規模なところや独立してやっている人で、ソフトの元データでのやり取りが発生しないのであればMODOがお勧めですね。先ほど申し上げたようにCGソフトを習得しようと考えたとき、習得するための時間、学習コストを見なければいけないのですが、MODOには最短距離でソフトの使い方を覚えるための教材がそろっているんです。その部分はソフトを選ぶうえで一番重要だと思うんです。
あとMODOから少し離れるかもしれないですけど、ある程度の英語力があるといいと思います。私は最初のころはMODOの英語の教材で使い方を学習しましたし、あと最新の情報を得ようと思うとやはり英語は必要だと思うんです。最低限チュートリアルの英語ぐらいが分かる程度の英語力は欲しいですね。そこは頑張って勉強するといいと思います。
本日は、どうもありがとうございました。