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みなさん、こんにちは。
特別連載コラム「MODOモデリングツールの基礎」を担当している T.F です。
このコラムでは、MODOのモデリングツールにフォーカスし、様々なツールをわかりやすくご紹介しています。
今回は、駅などに設置されているゴミ箱を作成してみたいと思います。
モデリングを進めやすいよう、あらかじめ下絵(テンプレート)の画像ファイルを用意します。
モデリングの作業自体は下絵が無くても進めることが出来ますが、簡単で良いので目安になるようなものを用意しましょう。作業効率がグンと上がります。
※このコラムで使用している下絵の画像ファイルは以下よりダウンロードしてご利用いただけます。
用意した下絵の画像をMODOに読み込みます。
エクスプローラ、またはFinderに画像ファイルを表示させ、「template_front.png」をMODOの3Dビューポートにドラッグ&ドロップします。
ドラッグ&ドロップした画像ファイルはMODOのシーンの中で、「Backdrop Item」の画像に割り当てられます。
アイテムリストで「Backdrop Item」を選択し、プロパティの値を調整します。
プロジェクションのタイプ | 正面 |
ピクセルサイズ | 2.5 mm |
※用意した下絵の画像サイズに合わせて調整します。 |
※「Backdrop Item」には他にも「コントラス」、「輝度」、「透明度」などのプロパティが用意されています。これらを調整してモデリングしやすい下絵の表示にします。
※MODOに読み込んだ下絵の画像がアルファチャンネルを持っている場合、その部分は透過して表示されます。
アイテムリストでどの方向のテンプレートか分かりやすいよう名称を「template_front」に変更しておきます。
次は右面ビューのテンプレート画像を読み込みます。
「template_side.png」をMODOの3Dビューポートにドラッグ&ドロップします。
アイテムリストで名称を「template_side」に変更し、プロパティは以下の様に設定します。
プロジェクションのタイプ | 右面 |
ピクセルサイズ | 2.5 mm |
※用意した下絵の画像サイズに合わせて調整します。 | |
反転 | ON |
※用意した下絵の前後が逆に表示される場合、 このチェックボックスをONにします。 |
現在Backdrop Itemのある原点付近ではモデリングの作業を行いたいので、邪魔にならないよう場所を空けたいと思います。
アイテムリストで「template_front」を選択します。
「基本」タブにある「移動」ツールアイコンをクリックし、3Dビューポートに表示された青いハンドルをドラッグして-Z方向に移動させます。
移動が終わったらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
アイテムの選択は、3Dビューポートで選択したいアイテムをクリックしても行うことができます。
3Dビューポートで横向きのテンプレート「template_side」をクリックして選択します。
「基本」タブにある「移動」ツールアイコンをクリックし、3Dビューポートに表示された赤いハンドルをドラッグして+X方向に移動させます。
移動が終わったらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
これで下絵の準備は完了です。次は下絵に沿ってモデリングを進めます。
今回のゴミ箱は立方体のモデルを編集して作成したいと思います。
アイテムリストでメッシュアイテムのアイコンをクリックして選択します。
今からこのメッシュアイテムの中に、ポリゴンのモデルを作成します。
選択モードをポリゴン選択モードに変更します。
まず正面の下絵に沿って立方体を作成します。
3Dビューポートの左上にある View Type (ビュータイプ) メニューを「正面」に変更します。
ウィンドウ左上のツールパレットの「基本」タブにある立方体作成ツールをクリックし、3Dビューポートでドラッグします。
ツールを起動していると、ウィンドウ左下には現在選択しているツールのプロパティが表示され、位置や大きさなどを数値で指定することができます。
今回はあらかじめ大きさが分かっていますので、以下のように数値を入力します。
位置 X | 0mm |
位置 Z | 0mm |
サイズ X | 444mm |
サイズ Y | 612mm |
次は横から見ながら立方体に奥行きを作成したいので、3Dビューポートを右面に変更します。
3Dビューポートの変更はパイメニューでも行うことができます。
Ctrlキー+Spaceバーを押してパイメニューを表示させ、「右面」を選択します。
中央の青いハンドルをドラッグして立方体に奥行をつけます。
奥行のサイズもあらかじめ分かっていますので、ツールプロパティへ以下のように数値を入力します。
位置 Z | 0mm |
サイズ Z | 360mm |
全体のサイズを確認するためにパースビューに変更します。
Ctrlキー+Spaceバーを押してパイメニューを表示させ、「パースペクティブ」を選択します。
問題なさそうですね。
SpaceバーまたはEscキーを押して、立方体ツールを解除します。
ではこの立方体を編集してゴミ箱の形に近づけてゆきます。
まず箱の底を調整します。
ポリゴン選択モードで底のポリゴンを選択します。
ポリゴンタブにあるベベルツールボタンをクリックして起動させ、青いハンドルを下に向かってドラッグします。
このパーツは長さが分かっていますので、ツールプロパティで数値を入力します。
シフト | 48mm |
数値を入力したらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
次は同じ手順で箱の上の部分のパーツを編集します。
ポリゴン選択モードで箱の上のポリゴンを選択します。
今度はショートカットでベベルツールを起動させてみましょう。
「B」キーを押してベベルツールを起動させ、青いハンドルを上にドラッグします。
このパーツも長さが分かっていますので、ツールプロパティで数値を入力します。
シフト | 24mm |
数値を入力したらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除し、何もないところをクリックしてポリゴンの選択を解除します。
次は箱の上の部分が山型になるよう編集します。
まず山の稜線となるエッジを追加しましょう。
エッジを追加する方法はいくつかありますがここでは操作が分かりやすい「エッジスライス」ツールを使用します。
「メッシュ編集」タブの「エッジスライス」ツールボタンをクリックして起動させます。
スライスを開始したいエッジの上にマウスポインタを持っていくと、エッジが反応してハイライト表示されます。
その状態の時にマウス左ボタンを押して、ドラッグしてみてください。
スライスの開始位置を表すハンドルが表示され、どこからスライスを始めるのかを指定することができます。
スライスの開始位置はツールプロパティで指定することができます。
今回はちょうど真ん中でスライスしたいので、位置に50%を指定します。
次はスライスを終了させたいエッジの上にマウスポインタを移動させます。
エッジが反応したら、マウス左ボタンを押して、ドラッグします。
すると先ほどのスライスの開始位置からエッジが追加されているのが確認できます。
スライスの終了位置もツールプロパティで指定することができます。
位置に50%を入力します。
ここまでできたらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
ちょうど真ん中にエッジが追加され、蓋をやま型にする準備ができました。
エッジ選択モードに変更し、スライスして作成したエッジを選択します。
「基本」タブにある移動ツールボタンをクリックし、みどり色のハンドルをドラッグして+Y方向に移動させます。
山の高さはあらかじめわかっていますのでツールプロパティで数値入力します。
位置Yに180mmを入力します。
やま型になったのを確認したらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除し、何もないところをクリックして選択を解除します。
これでゴミ箱のベースの形は完成です。
次はブーリアンツールを使ってゴミを入れる穴を作成します。
箱の上の斜めになっているポリゴンに丸い穴をあけます。
方法はいろいろありますが、今回はブーリアンツールを使用します。
まず穴の形をポリゴンメッシュで用意しますが、傾斜に沿ってモデリングする必要があるので、作業平面の機能を使用します。
ポリゴン選択モードで傾斜しているポリゴンを選択します。
ツールバーにある「作業平面」ボタンをクリックし、「作業平面を選択に合わせる」をクリックして実行します。
すると3Dビューポートで作業平面を表している白いグリッドが、選択していたポリゴンに沿うようになったのが確認できます。
また、3Dビューポート左下にある座標を表すアイコンを見てみると、座標の方向が傾斜している面と一致しているのが確認できます。
このように作業平面を設定すると、斜めになったポリゴンの向き(座標)を基準にしてモデリングを行うことができます。
実際やってみましょう。
ブーリアンで開ける穴のポリゴンを作成します。
穴のポリゴンは別のメッシュアイテムに作成しておくと作業が分かりやすいので、アイテムリストの右にある三角のボタンをクリックし、「Mesh」を選択します。
新たに「Mesh (2)」という名称のメッシュアイテムが作成されました。
このメッシュアイテムは分かりやすいように名称を「Hole」と変更しておきます。
新しくメッシュアイテムを作成すると、先ほど作成したゴミ箱のモデルがワイヤーフレーム表示されるようになりました。これはビューポートの表示設定で選択されていないメッシュアイテム(非アクティブメッシュ)がワイヤーフレームで表示されるように指定されているためです。ブーリアンの効果が分かりやすいよう、非アクティブメッシュの表示設定を変更します。
3Dビューポート右上の歯車のアイコンをクリックすると、「3Dビューポートプロパティ」パネルが表示されます。
「非アクティブメッシュ」タブをクリックし、「シェーディングスタイル」を「シェード」に変更します。
すると選択されていないゴミ箱のメッシュアイテムが「シェード」表示されるようになりました。
それでは、穴のポリゴンを作成します。
基本タブにある円柱作成ツールボタンをクリックして起動させます。
ゴミ箱の傾斜している面が手前になるよう3Dビューポートを回転させ、マウスの左ボタンでドラッグして円のポリゴンを作成します。
傾斜しているポリゴンと円のポリゴンがぴったり重なって見づらいので、みどり色の矢印のハンドルをドラッグして位置をずらします。
すると傾斜しているポリゴンと円のポリゴンの傾きが同じであることが確認できます。
穴の位置やサイズをツールプロパティに入力します。
位置 X | 0mm |
位置 Y | ※任意の値 |
位置 Z | -90mm |
サイズ X | 48mm |
サイズ Y | 0mm |
サイズ Z | 48mm |
入力が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
穴のメッシュアイテムをもう一つ作成します。
アイテムリストでメッシュアイテム「Hole」を右クリックし、複製 > 複製を選択します。
メッシュアイテム「Hole (2)」が作成されました。
移動ツールで移動させます。
「基本」タブにある「移動」ツールボタンをクリックして起動させ、Z方向に180mm移動させます。
位置 Z | 180mm |
移動が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
次はブーリアンツールを使って、傾斜しているポリゴンに穴を開けたいと思います。
アイテムリストでこれから編集を行うゴミ箱のメッシュアイテムを選択します。
そしてポリゴン選択モードで傾斜しているポリゴンを選択します。
あらかじめポリゴンを選択しておくことでブーリアンする対象を選択部分だけにするこことができます。
「形状」メニュー > ブーリアン > ドリル… を選択します。
「ドリル」ダイアログボックスが表示され、どのようにブーリアンするかを指定することができます。
今回は以下のように指定しOKボタンをリックします。
操作 | トンネル |
軸 | Y |
駆動メッシュ | 背景 |
すると、円のポリゴンが投影されたように、選択していたポリゴンに対して丸い切れ目が入ったのが確認できます。
穴のメッシュアイテムはもう必要ないので削除します。
アイテムリストで作成したいメッシュアイテム「Hole」の右の部分にマウスポインタを移動させると削除アイコンが表示されますので、クリックして削除します。
「Hole (2)」も同様に削除します。
ブーリアンで切れ目を入れて作った丸いポリゴンを選択してDeleteキーを押して削除します。
ここからのモデリングは傾斜に沿って行う必要が無いので、作業平面をリセットします。
作業平面ボタンをクリックして、「作業平面をリセット」をクリックします。
もう片方の傾斜しているポリゴンも穴が空いているようにします。
同じようにブーリアンを行っても良いのですが、手早く作業したいので「鏡面コピー」ツールを使います。
穴の開いていない傾斜しているポリゴンを選択し、Deleteキーを押して削除します。
コピーしたいポリゴンを選択します。
「複製」タブにある「鏡面コピー」ツールボタンをクリックします。
3Dビューポートをクリックすると、「鏡面コピー」ツールのツールハンドルが表示されます。
ツールハンドルをドラッグしてどのようにコピーするか指定することができますが、今回は単純な反転コピーですのでツールプロパティで設定するとよいでしょう。
軸 | Z |
角度 | 0° |
中心 Z | 0mm |
ぴったり複製できたらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
何もないところをクリックして選択を解除します。
出来上がったモデルを確認すると、穴の部分からポリゴンの裏側が見えてしまっています。
このままだとレンダリングしたときに不自然な絵になってしまいますので、ポリゴンに厚みをつけて裏面が見えないように加工します。
「ポリゴン」タブにある「厚み」ツールボタンをクリックし、3Dビューポートをクリックします。
すると青いオフセットのハンドルと赤いスケールのハンドルが表示されます。
青いオフセットのハンドルをドラッグして内側に少し厚みがつくようにします。
オフセットの値が-5mmくらいになれば良いでしょう。
オフセットが終わったらSpaceバーまたはEscキーを押してツールを解除します。
これで完成です。
遠景で使用するモデルであればこれくらいのディテールで良いでしょう。
もし近景に使用したり目立つような位置に配置される場合は、ベベルツール等を使用して面取りや溝の追加でディテールの追加を行い、モデルの情報量を増やすと良いでしょう。
それでは、また。
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