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事例記事
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ゲーム制作におけるMODOワークフロー : アニメーションについて

株式会社 KORAT でさまざまなコンテンツの3DCG製作、ディレクションを担当しておいでの 高野 怜大氏に、Unity, Unreal Engineなどのゲームエンジンを用いたゲーム制作のワークフローでの「MODO」の活用スタイルをご紹介いただいております。

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text by 高野 怜大

今回はアニメーションを制作する上で良く出てくる基本的な用語や流れを紹介して、MODOのユニークなアニメーションの機能をピックアップして説明したいと思います。

通常、3DCGソフトウェアでアニメーションを制作する場合、時間をあらわすタイムラインを操作しながらモデルの位置やポーズを設定します。

そして位置やポーズが設定された時間(フレーム)の事を、そのモデルの「キーフレーム」と呼びます。

左の動画の画面下にある白いマークが「キーフレーム」です。


キーフレームは全てのフレームに設定する必要はありません。キーフレームが無いところは、前後のキーフレームの位置やポーズから計算され、自動的に補間されます。

これに対し、手描きのアニメーションの場合は自動で間が補間されないので、すべてのフレームの絵を用意しないといけません。

キーフレームとエクストリーム、ブレイクダウン

■ キーフレーム

3DCGソフトでは、単純にキーが打たれているフレームのことを「キーフレーム」と呼んでいます。

しかし、アニメーションの世界で「キーフレーム」とは「動き/流れを表現する重要な1コマ」の事を指しています。「キーとなるフレーム」という意味ですね。一連の動きから「キーフレーム」だけ取り出して見ても、表現したいことや流れを把握することができます。

ジャンプのアニメーションからキーとなるフレームだけを取り出してみました。これだけでも全体の動きがどういったものか想像できますね。


■ エクストリーム

「キーフレーム」の次に重要なのは「エクストリーム」です。

歩いたり走ったりする動作であれば踵(かかと)が地面に設置したり、蹴り上げるときのポーズがそれにあたります。ジャンプする動きであればジャンプの前に一旦しゃがんだり、着地した後に沈み込むようなポーズです。

このように動作が切り替わるフレームを「エクストリーム」と呼んでいます。


■ ブレイクダウン

キーフレームやエクストリームの間の重要な通過点が「ブレイクダウン」です。「パッシングポジション」とも呼ばれます。「ブレイクダウン」はタイミングやツメタメなどの細かい調整を行うために使用します。

これらのキーフレーム、エクストリーム、ブレイクダウンを使って、効率的にアニメーションを設定できるよう、MODOにはスペーシングチャートの機能が実装されています。

スペーシングチャート

「スペーシングチャート」は、もともと手描きのアニメーション制作でよく使われている手法です。

アニメーターが要(かなめ)となる絵を描き、この図のような「スペーシングチャート」で中割り(インビトウィーン)の指示をして、専門のスタッフが間を補完する絵を描きます。


こちらはMODO の「スペーシングチャート」のインターフェイスです。

MODO の「スペーシングチャート」の機能も手描きの「スペーシングチャート」と同じ原理を採用しています。

このインターフェイスは、ひとつのキーフレームを 1 枚のセル画のように扱えるので、アニメーターはキャラクタのポージングに集中することができ、はじめにキャラクタの主要なポーズ (キーポーズ) を決めてから、タイミングを調整することができます。

MODO の「スペーシングチャート」は手描きのアニメーションの制作方法を意識して実装された、非常にトラディショナルなツールと言えるでしょう。

スペーシングチャートを使ったアニメーション設定

それでは、実際にスペーシングチャートを使ってアニメーションを設定してみたいと思います。

効果が分かりやすいよう簡単な振り子のモデルを用意しました。

この振り子にはすでにいくつかのキーフレームやエクストリームなどでアニメーションが設定されていますが、ずっと同じ速さで動いてるので不自然な動きになっています。

スペーシングチャートを使って、自然な振り子の動きにしてみましょう。


まず揺れ始めの動きを調整します。順番にキーの状態を確認しましょう。

0フレーム目は振り子の動き始めです。

ここは重要な位置なのでキーフレームが設定されています。


8フレーム目は振り子の通過点です。

ここにはインビトウィーンが設定されており、スペーシングチャートでタイミングを調整できるようになっています。

※半透明のモデルはオニオンスキンの機能を使って表示しています。オニオンスキンをONにすると前後のフレームのモデルを半透明に表示することができ、モデルの移動量を把握しやすくなります。


15フレーム目は振り子が一番下になるタイミングです。ココにはブレイクダウンが設定されています。


振り子の動きはじめはすこしタメを作りたいので、スペーシングチャートを使って通過点(8フレーム目の「インビトウィーン」)のタイミングをすこし調整したいと思います。

現在のフレームを8フレーム目に合わせます。 タイムラインで8フレーム目の「インビトウィーン」に現在のフレームを合わせます。

するとスペーシングチャートの下の部分に「インビトウィーンを調整」と表示されます。


「インビトウィーンを調整」と表示された部分をマウスで押すと目盛が表示されますので、押したまま左にドラッグします。

すると、現在のフレームはインビトウィーンがある8フレーム目のまま、振り子の位置を変化させることができました。

同様な手順で、他のインビトウィーンのタイミングにも調整を加えました。

モデルの動きにタメが追加されたのが確認できますね。

従来、このようなアニメーションの微妙なタイミングの調整は大変な手間のかかる作業でしたが、スペーシングチャートを使用するとタイミングを調整してもキーフレームやエクストリームに影響を与えることなく、直観的に修正をすすめることができます。

このようにMODOには、ほかのソフトにはないユニークな機能もあり、今までと違ったアプローチでクリエイティブに集中する事ができます。

ではでは

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高野 怜大

2002年から GameAsset、VideoPromotion をはじめとする各種コンテンツの3DCG製作、ディレクションを担当。

代表参加作品
「ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション (c)SEGA」
「HEXA GEAR(ヘキサギア)」コトブキヤ 新プラモデルシリーズプロモーション映像
モーターショーなど各種展示会映像
著書
「2.5Dアニメーション」「やってはいけないCG制作」他

株式会社コラット

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