MODOはリジッドボディおよびソフトボディ物理演算エンジンが組み込まれており、驚くほどリアルなアニメーションが生み出せるようになっています。これにより、オブジェクトの衝突や変形、物理法則に基づいた静止状態までの動きを表現することが可能になります。
MODOにおける物理演算(ダイナミクス)処理は、recoilによって行われます。このrecoilは、様々なコンストレイント、フォース、コントロールと堅固な衝突判定とを組み合わせることにより、複雑な物理演算シミュレーションを実行したり、セットアップを簡単に設定することができます。recoil機能はBullet物理エンジンのバージョン2.79をベースとして開発されており、旧来まではMODOのプラグインとして提供されていましたが、MODO601からは標準機能として組み込まれるようになりました。recoilではリジットボディ(剛体)に加えて、ソフトダイナミクス(軟体)の処理も可能です。
recoilを使用するには、シーン内のどのアイテムに物理演算計算を適用するのかをタグ付けするだけで、タイムライン上で再生ボタンを押すと自然の力に反応できるようになります。さらに細かくコントロールするためには、MODOのアイテムに「ウェイクオン」コンディションと初期「衝撃」ビヘイビアを与えます。一般的なウェイクオンイベントといえば衝突です。わずかに飛び上がるような衝撃ビヘイビアと一緒に用い、衝突後に重力に反応するような動作を表現できます。もしくは、イベントが発生した時点(例えば、あるキーフレームに達した時点など)で、物理演算処理を行うように設定することも可能です。さらに、二つのオブジェクトがお互いが一定の距離に近づいた時などに物理演算を開始するといった、より高度な条件を備えたリグを作ることもできます。
recoilを使えば、複数のオブジェクトが、互いにどこで衝突や相互作用を引き起こすかなどについて、説得力のあるアニメーションを簡単に設定することができます。2個のサイコロが転がるといった簡単な表現だけでなく、マントやロープのゆらめきといったアニメーションも表現することが可能です。また、オブジェクトを山のように積み重ねて(例えば、山積みのヘアードライヤーなど)静止している状態も表現することができます。
Andy Probst氏によるシンプルな衝突ダイナミクス効果例
recoilを使用した演算処理とその派生モーションの素晴らしい効果を表現しています。
「recoilはものすごく楽しいよ。すべてのパンをトースターに仕込んで、ただ「キッカー」を加えるだけで、適切なフレームでシミュレーションを始めると、トリガーで一枚一枚のパンが飛び出したり、それぞれ衝突するアニメーションができたんだ。設定したのはたったそれだけ。とっても簡単で素晴らしいよ!」
– Andy Probst
このrecoilシミュレーションには「タイムワープ」エフェクトが適用されています。
MODOでレンダリングされたrecoilシミュレーションと実写の統合
スローモーションのシーンには、サブサーフェイススキャッタリングと強めの被写界深度が使われています。