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みなさん、こんにちは。
特別連載コラム「MODOモデリングツールの基礎」を担当している T.F です。
このコラムでは、MODOのモデリングツールにフォーカスし、様々なツールをわかりやすくご紹介しています。
今回はフライ返しのモデルを作成する手順を通して、MODOのフォールオフの機能をご紹介します。
モデリングを進めやすいよう、あらかじめ下絵(テンプレート)の画像ファイルを用意します。今回は単純なモデルなので上面の図のみを用意しました。
モデリングの作業自体は下絵を用意しなくても進めることが出来ますが、手描きのスケッチのような簡単なもので良いので、目安になるようなものを用意しましょう。作業効率がグンと上がります。
※下絵の画像ファイルは以下よりダウンロードしてご利用いただけます。
template_top.png (1500×1500)
用意した下絵の画像をMODOに読み込みます。
エクスプローラ、またはFinderに画像ファイルを表示させ、「template_top.png」をMODOの3Dビューポートにドラッグ&ドロップします。
ドラッグ&ドロップした画像ファイルはMODOのシーンの中で、「Backdrop Item」の画像に割り当てられます。
アイテムリストで「Backdrop Item」を選択し、プロパティの値を調整します。
プロジェクションのタイプ 上面
ピクセルサイズ 0.1mm (100 um)
※用意した下絵の画像サイズに合わせて調整します。
※「Backdrop Item」には他にも「コントラスト」、「輝度」、「透明度」など のプロパティが用意されています。これらを調整してモデリングしやすい下絵の表示にします。
※MODOに読み込んだ下絵の画像がアルファチャンネルを持っている場合、その部分は透過して表示されます。
原点付近にテンプレートがあると後でモデリングしづらいので少し-Y方向に移動させておきます。
位置Yに-1mを入力しておきます。
アイテムリストを見たときに、アイテムがわかりやすいよう「Backdrop Item」の名称を「template_top」に変更しておきます。
3Dビューポートを上面に変更します。
アイテムリストでメッシュアイテムが選択されていることを確認します。このメッシュアイテムにモデルを作成します。
まずフライ返しの先端部分を作成します。
「立方体作成」ツールボタンをクリックします。
3Dビューポートをドラッグし、ポリゴンを作成します。
ハンドルをドラッグして位置、大きさを下絵のヘラの部分に合わせてください。
下絵が見えづらいようであれば、3Dビューポートの表示を「ワイヤーフレーム」に変更します。
ツールプロパティを確認します。
このモデルは原点付近に左右対称となるよう作成したいので位置Xを0、位置Yを0に設定しておきます。
モデルの厚みは後の工程で作成しますので、サイズYを 0 mm に設定しておきます。
ヘラのカーブが滑らかになるようZ方向の分割は少し多めにしておきます。セグメントZを16に設定しておきます。
値の設定が完了したらSpaceバーまたはEscキーを押して、ツールを解除します。
次はスケールツールとフォールオフの機能を組み合わせ、ヘラのカーブに合わせてモデルを変形させます。
ポリゴン選択モードに変更します。
フォールオフにリニアを選択します。
3Dビューポートをドラッグするとクサビ型のハンドルが表示されます。これがリニアフォールオフのハンドルです。
リニアフォールオフを使うと、直線的にツールの強さを調整することができます。
今回はスケールツールと組み合わせて、ヘラの根元の方が強くスケールされるようにします。
フォールオフのハンドルの位置は3Dビューポートでドラッグして調整することもできますが、ツールプロパティで設定すると手早く行うことができます。
自動サイズ Z をクリックします。
これでヘラの根元部分にツールの影響が強く適用されます。
スケールツールを起動させます。
スケールツールのツールハンドルをドラッグして、X方向に小さくします。
すると、リニアフォールオフの影響でヘラの根元の方が強くスケールされるのが確認できます。
リニアフォールオフのツールプロパティにあるシェイプの設定を変更します。
ここではイーズアウトを指定すると下絵に近いカーブを得られそうです。
スケールツールのハンドルをドラッグして、下絵に合わせて形を整えます。
形が整ったらSpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
Escキーを押してフォールオフを解除します。
次はヘラの根元の部分を調整します。
エッジ選択モードで根元のエッジを選択し、スケールツールでハンドルをドラッグして下絵に沿うようにします。
修正が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
次はこのエッジからフライ返しの柄(え)の部分を作成します。
エッジタブにある拡張ツールを起動させます。
3Dビューポートをクリックして、柄(え)の方向にハンドルをドラッグします。
柄(え)の先端は少し広がっていますので、下絵に合わせてスケールツールで少し大きくします。
調整が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
柄(え)の角(かど)をベベルツールで丸めます。
頂点選択モードで柄(え)の角(かど)の頂点を選択します。
Bキーを押してベベルツールを起動させ、3Dビューポートを左右にドラッグすると頂点に対してベベルが行われます。
ツールプロパティで丸めレベルを2くらいにして、調整するとよいでしょう。
編集が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
3Dビューポートをパースへ変更し、表示をデフォルトに変更してモデルを確認します。
次はこのモデルに厚みをつけます。
ポリゴン選択モードに変更します。
もしどこかポリゴンが選択されている状態であれば、何もないところをクリックして選択を解除しておいてください。
MODOは何も選択されていない状態をすべて選択されていると解釈しますので、ポリゴンの選択をすべて解除して厚みツールを実行すればすべてのポリゴンに厚みをつけることができます。
ポリゴンタブにある厚みツールをクリックします。
3Dビューポートをクリックし、青いハンドルをドラッグして厚みをつけます。
ツールプロパティでオフセットを2mm程に設定します。
編集が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
ヘラの先の部分を少し薄くしたいと思います。
エッジ選択モードでヘラの先のエッジを選択し、移動ツールで-Y方向にドラッグして薄くします。
編集が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
次は柄(え)にブーリアンツールで穴を開けます。
ブーリアンの手順が分かりやすいよう穴のモデル用のメッシュアイテムを作成します。
アイテムリストでアイテム追加の右にある三角のボタンをクリックし、Meshを選択します。
空(から)のメッシュアイテムが作成されました。ここに穴のモデルを作成します。
3Dビューポートを上面に変更します。
基本タブにある円柱ツールを起動させます。
3Dビューポートでハンドルをドラッグして下絵に合わせて大きさ、位置を調整します。
穴の位置はX方向で中央になりますので、ツールプロパティの位置Xには0mmを入力します。
位置Yにも0mmを入力しておくと、次の工程で行う円柱の厚みの調整が手早く行えます。
サイドに24
セグメントに1
を入力しておきます。
3Dビューポートをパースに変更し、円柱に厚みをつけます。
この円柱のモデルで柄(え)の部分をくりぬきますので、すこし長めに設定しておくとよいでしょう。
調整が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してスケールツールを解除します。
それではブーリアンツールを実行します。
アイテムリストで、フライ返しのモデルのメッシュアイテムを選択します。
「形状」メニュー > ブーリアン > ブーリアン…
を選択します。
ブーリアンダイアログボックスが表示されます。以下のように設定してOKボタンをクリックします。
操作減算
駆動メッシュ背景
ブーリアンが実行され、フライ返しのモデルが円柱でくり抜かれました。
この後、円柱のモデルは使用しませんので、アイテムリストの削除アイコンをクリックして削除します。
フライ返しらしくなりましたね。
最後にベンドツールで形を整えます。
変形タブのベンドツールをクリックします。
3Dビューポートを少し横から見た状態にして、ヘラの根元付近をクリックします。
するとベンドツールのツールハンドルが表示されます。
ベンドツールには3つのハンドルがあります。
リングの中央の十字のハンドルはベンドツールで曲げる中心になります。
コテの根元からすこし先の付近に配置します。
水色のポイントは影響範囲を表しており、リングの中心から水色のポイントまでの間がなめらかにベンドされます。
コテの根元から柄(え)の方へすこし離れたあたりに配置します。
この状態でリングをドラッグします。
するとモデルがきれいにベンドされます。
編集が終わったら、SpaceバーまたはEscキーを押してベンドツールを解除します。
これで完成です。
今回はスケールツールとリニアフォールオフの組み合わせでモデルの変形を行いました。フォールオフには様々な種類があり、他の編集ツールとの組み合わせで色々な応用が可能です。
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