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バージョン16.0におけるシェーダツリーの改良点

https://www.youtube.com/watch?v=NvBJ2g2WARg

Modoバージョン16.0では、マテリアルの作成や編集を行うシェーダツリーに対して様々な改良が施されています。

まず従来通り、メッシュに対してマテリアルを作成してみましょう。サンプルモデルに対して、ショートカットキーMでマテリアルを作成してみます。シェーダツリーを見てみると、マテリアルグループのアイコンが変わっているのがわかります。バージョン15まではマテリアルグループに対しては赤いマークがついていたかと思いますが、バージョン16からはアイコンが変化しています。マテリアルグループはマテリアルの影響範囲を定義するものですが、この定義方法は一種類ではありません。

マテリアルグループを選択し、テクスチャレイヤータブを見てみましょう。通常、ショートカットキーMでマテリアルを作成すると、ポリゴンタグタイプマテリアルに設定され、指定した名称のマテリアルタグをつけられているポリゴンに対して影響範囲を設定することになります。ただマテリアルグループの影響範囲の定義方法はそれだけではありません。アイテムや複数のアイテムをまとめたグループで影響範囲を定義することもありますし、マテリアルタグではなく、選択セットパートでタグを指定することも可能です。

マテリアルグループをアイテムで指定する場合、アイテムをドロップダウンから選択し、ポリゴンタグの設定を外してみると、マテリアルグループのアイコンは変化します。さらにアイテムを指定し、なおかつポリゴンタグも併せて設定すると、さらにアイコンが変化します。

アイテムは指定せず、単にポリゴンタグタイプマテリアルに設定する場合には、マスクのアイコンになります。今度はポリゴンタグタイプマテリアルからパート選択セットへと変えてみましょう。適当にモデルにパートや選択セットを作成してみます。ではポリゴンタグタイプをパートへ設定し、ポリゴンタグから適切なパートを選択してみると、そうするとマテリアルグループのアイコンは青色へと変わりました。今度はポリゴンタグタイプを選択セットへ設定し、ポリゴンタグから適切な選択セットを選択してみると、今度はマテリアルグループのアイコンは黄色へと変わりました。このようにバージョン16からはマテリアルグループのアイコンを見ただけで、それがどういった定義のされ方をしているのかというのを一目で把握できるようになっています。

また、マテリアルグループの中のマテリアルの名称も、バージョン16からは変わっています。従来のバージョンでは、マテリアルを設定すると、マテリアルグループの中に作成されるマテリアルの名称はMaterialという名称でしたが、バージョン16からはマテリアルグループの名称の前にM_という文字列が付くようになっています。これはシーンの中に膨大な量のマテリアルが存在する場合、どのマテリアルグループに属するマテリアルなのかを、名称だけですぐに把握することができ、大変便利に使えます。

シェーダツリーにも改良が加えられています。従来までのバージョンだと、マテリアルグループやマテリアル名称のすぐ右隣にエフェクトの列がありましたが、バージョン16からはB%の列が増えています。これはそれぞれブレンドモード不透明度の値を表しています。従来まではマテリアルグループやテクスチャのブレンドモード不透明度テクスチャレイヤーのタブで、マテリアルのブレンドモード不透明度マテリアル(透過)のタブで設定を行っていました。これらの値をシェーダツリーの中でアクセスできるようにしたことで、例えば、いくつものテクスチャやマテリアルを重ねている場合、わざわざプロパティパネルのほうにアクセスする必要がなくなり、マテリアルの設定を行っていく際のフローの大幅な効率化を図れるようになっています。

さらにもう一つ、シェーダツリーにはマテリアルグループごとにエフェクトを整理するという機能が追加されました。例えばモデルの質感を追及していくうちに、マテリアルやテクスチャをどんどん追加していき、無秩序に積みあがっていくことがあります。例えばサンプルとなるシーンでは、ディフューズの色やディフューズ量、スペキュラ量に対してテクスチャが複数設定されていますが、設定した順に下から上へと積みあがっていますので、エフェクトが種類毎にそろっているわけではありません。この場合、ディフューズの色だけに注目して作業を行いたいと思っても、シェーダツリーの中で散らばっているため、直感的に作業することが難しくなります。このような場合、マテリアルグループを選択し、右クリックでコンテキストメニューからエフェクトを整理を実行すると、エフェクトごとにテクスチャや並び替えてくれます。こうすることで、編集したいエフェクトに関するテクスチャがまとめられて見やすくなりますので、作業効率が上がるようになります。

また、このエフェクトを整理ではテクスチャを並び替えるだけではありません。デフォルトではModoのマテリアルのシェーディングモデルフィジカルベースに設定されていますが、シェーディングモデルごとに設定するプロパティは変化します。例えば、フィジカルベースで使用するディフューズ量は、プリシンプルでは使われることがありませんので、シェーダツリーの中にあっても使われることはありません。こういったシェーディングモデルの差によって使われなくなったエフェクトに関しては、エフェクトの整理を行うと、Omittedというグループの中にひとまとめにされ、オフの状態にしてくれます。こうすることで、シェーダツリーには実際に使うエフェクトだけがシンプルに表示されるようになります。シェーディングモデルをもう一度シェーダツリーへと戻した場合には、エフェクトを整理を再実行することで、Omittedグループの中から自動的に元に戻されますので、以前行っていた設定を無駄にすることもありません。

このようにバージョン16ではシェーダツリーに施されたいくつもの改修機能により、さらに編集しやすく、またわかりやすい設定インターフェイスとなっています。

2022年5月2日